「えっ、泳げない?」

ビーチに向かった私達は、途中の道で通行止めにあっていた。

「嵐が近づいて来ているんですよ。今日は遊泳禁止になりました」

係員の人がそう説明してくれる。

残念だが仕方ない。

「早く建物の中に入ったほうがいいかもしれない。荒れそうだ」

零さんが言った。

先ほどまで晴れ渡っていた青空は不穏に曇ってしまっていて、強い風が吹き始めている。

ホテルに引き返した私達は、とりあえず朝食をとろうということになり、レストランへやって来た。

「ここの食べ物みんな美味しくて太っちゃいそうです」

「君は少し太っても構わないよ。でも、もし心配なら俺がトレーニングに付き合うから、安心してお食べ」

「うう…零さんのお世話にならないよう気をつけます」

まさに南国といった感じの美味しい食事でお腹を満たしてから、部屋に戻ろうとした時だった。

最初の悲鳴が聞こえてきたのは。


 戻る 

- ナノ -