暇だとどうでも良いことが気になる。
「御幸、ちょっと眼鏡外して」
今は御幸の素顔。
決して暇なわけじゃないけどね。
先生がいない自習なんて、静かにかつ真面目にやるのなんてせいぜい最初の五分。
誰かがクスクス笑い始めたら、それを皮切りにみんなの集中力は切れてしまう。
「やだよ、バカ」
「イケメンのくせにバカとか言わないでよ。一回だけ。横顔だけでも良いから写真撮らせて」
「イケメンに罵られて幸せだろ?」
「キモ!御幸のケチ腐れ!」
この男はどうしてこう可愛げがないのか。
こいつの写真はどういうわけか、人気があるからよく売れるんだよね。
部費稼ぎのために、ぜひ素顔を晒せコラ。
「お前が俺に惚れたらどうすんの」
「惚れない」
御幸本気でバカなの?
誰がお前みたいな陰険インテリ腹黒クソ狸に惚れるか。
ガチの即答否定だわ。
「俺本当イケメンだからさー…。お前に惚れられたら面倒臭ぇし、嫌」
「自信家ウゼェ」
「今まで俺の写真を売って稼いだ金出せ」
「ナンノコトデスカー?」
「はー…お前は本当可愛くねーなー」
「その眼鏡度数あってないんじゃないの?カチ割ってやるからツラ貸せや」
「むしろお前の脳味噌グジャってやるから、脳味噌出せよ」
「調子乗んな陰険童◯眼鏡」
「は?ふざけてんの?売れねぇ処◯写真部」
カッチーンきました。
嘘きてました。
立ち上がったのは二人同時。
周りの視線なんて見えもせず掴みかかった。
後、乱闘騒ぎで片岡先生に生徒指導室へ呼び出されたのは言うまでもない。