ティラミス!ティラミス!




「ぅいゃっほぉぉぉぉうい!」
「朝からうるせェ。静かにしやがれ」

異常なテンションなことくらい重々承知です。
だけど、だけどっ、楽しいんだもん。

「修学旅行じゃァァァァァ!」

私たち銀魂高校3年Z組は修学旅行へと出かけています。
京都奈良。京都に一泊、奈良に一泊。
まァ、別に受験生とかそういう設定でもサザエさん方式で年取らないことになってるからこれ。
いつまでも学生だから私たち。
受験生だから二泊三日なんですーとかそういう理由ではないと思われます、はい。

「ぎゃはははは!凛がギャーギャー言ってる間に私はウノアル!」
「あっ、ずりーぞチャイナ!てめぇ、なんかしてんだろ!」
「してないネ!お前と一緒にするなヨ!」
「ンだとコノヤ…ぶっふぅ」

私が沖田くんの後頭部を勢いに任せてとりあえず蹴った。
だって、神楽ちゃんと喧嘩しようとすんだもん。
仲良くなりたいって言ったのはどこのどいつだ、あぁん?

「な、にすんでィ、このアホ野郎」
「アホで結構!ちみはァ、神楽ちゃんと喧嘩してどうするつもりなんですか!?仲良くなりたいんじゃなかったんですかァ!?」
「うるせェ、俺には俺のやり方があんでィ」
「ああ、分かったよ!じゃあもう二度と口出ししないからな!私がいなくて険悪なムードになってもしらねェからなァ!」
「上等でさァ」

ごにょごにょ、と二人でコソコソしてると神楽ちゃんが「おい、早く出せヨ」と急かしてきた。
バスの中でウノやってるのは私たちだけじゃないけど、神楽ちゃんが予想以上にウノが好きで、めちゃくちゃはしゃいでやってたから一番私たちがうるさいんだと思う。

「(げぇ…っ、やばいんだけど、これ。私出せないしこのままじゃ確実に…ドローなんとかじゃね!?)」

順番は神楽ちゃん→沖田くん→高杉→私。ただでさえこのメンバーは要注意人物が揃いも揃ってるってのに、この順番じゃあ私は死んだも同然。
もうほとんどみんなカードの枚数が4枚とか3枚とかなのに私だけ二桁のまま。

「ウノでさァ」
「ああああ!もう嫌だァァァァア!こんなん勝てるワケなくね?勝てねーよ、こんなんンンン!」
「うるさいアル。それがお前の運命ネ。ドンマイアル」
「ドンマイアル、じゃないよォォオ!」

あーあ、どうせ私の味方なんて誰一人いないんだ。
殺せェ!殺せよォ!私を殺せよ、神様ァ!

「…うぜェ、水城」
「あんだとコノヤロー。てめーのが百億倍くらいうぜェんだよ」
「いや、どっちもうぜェけど、凛はそれ以上にうるさい」
「はァア!?うっさいって…なんだよ、このドSバカ!ドSバカ!」
「なんでィ、褒めてんですかィ?」

沖田くんに蹴りかかればひらりとかわされて私が蹴られることになった。
あーもう、なんでこーなるの。
私たちがどったんばったんしてたら神楽ちゃんと高杉が後ろでごにょごにょ言ってた。

「なにアルか、あの二人。なんか最近仲いいアル」
「ンだよ、嫉妬してんのか?」
「当たり前ネ。私の凛取られて嫉妬しないはずがないネ」
「…そっちじゃねェだろ」
「お前はいいアルか?あのヤローに凛取られても。悔しくないアルか?」
「俺ァ、お前みたいに子供じゃねーんだよ」
「ふんっ、後で泣きみても知らないアル」

え…ちょっ、何があったか私にはさっぱり聞こえないんですけど。
文章にしてはいるけど、私には全然聞こえないんですけど。
骨と骨がぶつかり合う音しか聞こえないんですけど。ナニコレ。

志村さんが近藤くんを殺す音。
柳生さんに障った東城くんが投げ飛ばされる音。
沖田くんが土方くんにバズーカを打つ音。
神楽ちゃんが沖田くんとドンチャンする音。
高杉に首を絞められる私の悲鳴。

よくこんなんで、バス壊れないね。