最近、沖田君とは全然話していない。
沖田君から話しかけてくることもほとんどなくなってしまった。
なんだか避けられてるような気がする…。


あたしは沖田君に対して何もしてない。
喧嘩とか…全然しゃべっていないんだから何か嫌なこと出来るはずもないんだ。


だけど、沖田君はあたしのことを避ける。
話すとしても短い言葉ですぐ終わってしまうことがほとんどだ。
「うん」とか「了解」とか…メールで返事を返さなくてもいいような、一言で終わってしまうんだ。


「最近、沖田君とあやちゃん話してないけど何かあったの?」

「あたしには心当たりないんだけど…なんか沖田君が避けてる…みたいな。嫌われちゃったのかな?」

「そんな事ないネ!サドがあやのこと嫌うはずないアル!!」

「ど、どうしたの…神楽ちゃん…」


今はお昼休み。
あたしと神楽ちゃんと妙ちゃんはいつも屋上でお昼を過ごしている。
今日もいつもの様に屋上で三人で話していた。
あたし達三人のほかに、屋上には誰もいない。


妙ちゃんが沖田君のことを聞いてきたからあたしが率直な意見を述べたら神楽ちゃんが急に大声を出して立ち上がって言った。
沖田君があたしのことを嫌うはずない…と。


「な、なんでもないアル」


あたしがどうした?と問いただしたら神楽ちゃんはマズイッと言ったような顔をして、なんでもないとあたしに言った。
それは違うとあたしは思った。
絶対に神楽ちゃんは何か隠してる、と悟ったあたしは神楽ちゃんに問いただすことにした。


「なんでそんな事言えるの?」

「だから、なんでもないネ」

「何隠してんの、神楽ちゃん!」

「だ、だから…」


もう少しで何か分かる…と思ったときに雨が降って来た。
あたし達がいるのは屋上。もちろん屋根はない。
だからこのまま屋上にいたらびしょびしょになってしまう。


授業をびしょびしょのまま受けたくはない。
でも、屋上から教室へ戻ったら神楽ちゃんはしらばっくれるに違いない。


「あ。雨、降ってきちゃったわね…。教室戻りましょうか」

「そうアルな!早く戻るネ!!」


もしかすると、妙ちゃんもグル!?
二人は早足で階段を駆け下りていった。
あたしに二人で何を隠しているんだろう。


特にあたしの誕生日だとか、そういうイベントは近々ないはず。
あたしの予定表は真っ白なんだから。


「ちょっ…待ってよ!まだ話終わってないっ!!」


叫んでもあたしの声が階段にこだまするだけで返事は一切かえってこない。
当たり前だ。二人は早足で教室へ戻ったんだから。


あたしは一人でトボトボと階段を降りながら教室へ向かった。

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