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「何でですかっ!?」
果たし状、と書かれた封筒を差し出した彼女は口をへの字にして叫ぶ。
「どうして僕が君と決闘なんてしなくちゃいけないんだ。それに群れるのは嫌いなんでね」
「だからっ群れるんじゃなくて、勝負ですってば!」

彼女――日向雅は、2週間ほど前からこうして、何かにつけて僕に勝負をしろと言ってくる。
本当に、どういうつもりなんだ・・・。

「勝負なんてしない。大体、僕が君と勝負をして何のメリットがあるんだい?」
「うっ、・・・め、メリットならあります!」
僕が問いかけると、彼女は苦し紛れにこんな提案を持ちかけてきた。

「雲雀先輩が勝ったら、私は何でも言うこと聞きます!」
「何でも、ね・・・」
小さく呟く僕に彼女は続ける。
「そ、そのかわりっ私が勝ったら・・・そのっわ、私、と、つ、付き合ってください!!」
「は・・・?」
顔を真っ赤にしながら言った彼女に、僕は目を丸くする。
「いや、あのっ、だから・・・その・・・・・す、好きなんですっ!雲雀先輩がっ!!でも、たぶん、ただ言っただけじゃ、絶対叶わないし。先輩群れるの嫌いだし・・・」
「だから、決闘?」
彼女は、真っ赤な顔をさらに真っ赤にさせて小さく頷く。

「この間、先輩に助けてもらって・・・そのときに・・えっと・・・」
確かに僕は2週間くらい前に、男子高生に絡まれてる彼女を見つけて助けた。
まあ、僕は助けたつもりでは、なかったんだけど。

でも、これは好都合かもしれない。
彼女が僕を好きだということが分かって。

ああ、なんだか、嬉しい。
思わず、笑みがもれる。

「それなら、勝負をする必要はないよ」
「えっ!?」
訳が分からない、というように首をかしげている彼女。
「なんでですか?」
「・・・わからないの?」
「何がですか?どうして勝負する必要ないんですか?・・・・もしかして、付き合いたくないから、とか・・・?」
不安気に僕を見上げる彼女に小さくため息をつく。
「どうして、この会話の流れからそんな考えに行き着くんだい」
彼女はさらに首をかしげる。
「なんでため息つくんですか!?意味が分かりません!!」
本気で分からないのか・・・。
不安気な表情をしたと思ったら、今度は、眉根を寄せて口を尖らせている。
本当に、くるくると表情が変わるものだ。

だけど、

そんな姿さえも、

「僕が、君を、――」

可愛いと思ってしまう僕は、

かなり彼女に、

「―――好きだってことだよ」

嵌っているのかもしれない。


黙っていれば、可愛いのに。


でも、たまには彼女の気持ちを聞くのもいいかもしれない。

顔を真っ赤にしながらの告白に不覚にも、胸が跳ねたのは、
僕の言葉を聞いてさらに顔を真っ赤にした彼女には、
秘密だけれど。

 

bkm
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