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ー練習試合前日。


プルルルルル…
プルルルルル…

「もしもし。なに?”鳴“」
『なんだよ〜奏哉〜。明日の挨拶でも、って思って電話したのにさぁー!』
「何いってんの。明後日だけど。稲実とは。
それに、挨拶なら哲さんにすればいいじゃん。」
『むり!あの人怖い!』
「知らないよ。そんなの。ていうかそんなこと言うために電話してきたんじゃないだろ。」
どうせ鳴のことだ。アレしかない。
はぁ。タイミング悪いな。
『奏哉勘いいね!』
「だってお前そればっかじゃん。
それに俺はもう戻る気ないから。」
『何で?それって奏哉の自己満じゃん!』
いちいち的ついてくるなぁ。
「だったら?そうだとしても鳴には関係ないし。じゃ。」

そういって鳴との電話を一方的に切る。
はぁ。最近この話題ばっかりだな。









練習試合1日目。対大阪桐生
スタメンは倉持、亮さん、純さん、哲さん、増子さん、御幸、坂井先輩、俺。後は降谷。そして途中から沢村。いつもと違うのは投手陣。
降谷に偉そうなこと言えるほどおれ自身も全国なんて経験してないけど、ストレートしかないアイツがはじめて味わう全国の厳しさなんだろうな。
まあそれよりも俺自身の打率もあげないと厳しいんだけど。
そしてそんな降谷の先発に伴って監督から俺らには、いくら打たれても文句を言うな。ただそれだけ。まあ打たれたからって投手に文句言ったって意味ないし。まず打てなかったらこっちも文句言われても困るからお互い様なんだけど。







そして試合開始。
当たり前だけど体が重い。
降谷も思った通り球もはしってないみたいだし。
しかもコントロールもいまいちだからいきなり押し出し。横の純さんも隠してるつもりだろうけどそうとうイライラしてるんだろうな…。


そして、一回表の最後はセンター前になりそうだった打球を亮さんと倉持が上手くさばいてダブルプレー。ここでようやく桐生の攻撃は終わり。
ここからは青道の攻撃。きっと相手の投手は舘さんなんだろうな…。打たないと…。

「奏哉。顔ひきつってるぞ。リラックスして打席にたてば大丈夫だ。」
よほど顔がこわばってたのか哲さんに背中をおされる。
「あ、はい。すいません。」
「何かあったのかはしらんが、ここにそれを持ち込むなよ。そうだな…。倉持あたりに吐き出すといいだろう。」
そう哲さんは真面目に言うもんだから自然に笑いがこぼれる。
「そうですよね。また倉持にでも。」

そういって打席に向かった倉持を見て笑った哲さんを見ると俺も笑えたのはたぶん誰も見てないはず。



(見てないはず)
おい、なんか奏哉笑ってんぞ。
哲さんも笑ってません?







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