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「さ、さ、さ、さ、さ沢村くん!
救急セットってベンチにあったっけ?!」
目の前で転がっていく後輩を目の当たりにするなんてはじめてだ。
「ねえ、一也!救急セット!ベンチにある!?」
「あ、一也ってよんだ!」
「いやいや、今そんなことどうでもいいんだよ!
こけてんじゃん!転がったんだよ!?」
焦りすぎだろ。と御幸はいうがこの状況で笑ってられる御幸の神経を疑うね。私は。
って、自問自答してる場合じゃないんだけど。
「お、代打か。」
そしてベンチに戻ろうと歩き出した瞬間御幸の声と
「代打オレ!」
の声が。
さっきの子だよね??
「てか、代打って!勝手になにして…って、私いないからじゃん!怒られる!」
「(ククッ。 奏架 焦りすぎ…。後でからかってやろーっと)」
あぁ、もう監督気づいてるよね?やばいよね?
もう…。
そして小走りでベンチに向かい、代打の“小湊春市”くんを見る。
その瞬間、私の頭の上には5つくらいクエスチョンマークがちらついていたと思う。
だって、決めてもいないサインを沢村くんに送っているのだから。
もしかして私のいないうちに決めたの!?
でもそれは間違いだったことに気づいたのはこの直後。
「え!なにそれ!?なんのサイン!?折れ効いてねーぞ!」
なるほど。小湊くんの陽動作戦ってことか。
そして。
ノリ君の放った球はアウトコースの球。
「打ち取った、かな?」
けど私の予想は意図も簡単にハズレた。
ライト線ギリギリ。それに加えて沢村くんは打つ前からスタートを切っていた。
三塁でストップ、だよね。ってえ!?
「ちょ!沢村くん!ストップ!!」
ベンチの前にでて叫ぶが聞こえているはずもなく
沢村くんはいっきにホームベースまで突っ込んでくる。


「嘘でしょ…」


結果はセーフ。
2人で上級生から点をとった。
それより!

「沢村くん!体!捻ってないの!?」
「?全くいたくもなんともないっすよ!」
「よかった…。」

そしてため息もつかの間。
1年生の攻撃は小湊くんの次の打席で終わりとなった。








(代打オレ!)
お願いだから後半は何かするとき私に断りいれてほしい。



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