子ネタ

パニックリターン1



137話、5D'sを支える魅力的なサブキャラをもっと見たかった妄想その1。





【同業者で】

「カーリーッ!」
甲高い女性の声がカーリーをひき止めた。カーリーは振り替えって目を見開いた。拍子に眼鏡がずれた。「あ、アンジェラ!?」美しい同業者の顔がそこにあった。彼女は手にマイクを手にしている。「なにをぐずぐずしてるの!」アンジェラはそう言ってカーリーの背をぐいぐい押した。「こんなに荷物があったら重いじゃない!」「だ、だってこれには大切なものが入ってるんだから!」押されながらカーリーは反論した。
「アンジェラは逃げないの!?」
「バカねカーリー!私が逃げたら誰がこれを伝えるって言うのよ!」アンジェラは空を指差した。「こんなのが落ちてくるなんて、今でも信じられないっていうのに」
空に突然出現したそれ。カーリーはあれを見るだけで体が震えるのがわかった。あれは確実にこのネオドミノシティにむかって落ちてきていた。だというのに周りは逃げ惑う人々がパニックを起こしてあちこち混雑に見舞われている。逃げても、無駄かもしれない。薄々感じていることだった。だが、カーリーは希望を捨てていなかった。場違いのように空へと架かった虹を確かにカーリーはこの目で見たのだ。あれこそがシティの希望のように見えた。
「カーリー。私は私にできることをする。だから貴方も貴方にできることをしなさい!」
「まってアンジェラ、私も残…っ」
「あんたは逃げなさい!逃げて生き延びて記事を書くの!」
カミカミカーリーにはそっちのがお似合いよ!とアンジェラはカーリーの肩をつき離した。「アンジェラ!」振り返った先の彼女の顔は泣きそうにくしゃりと歪んだ。足が震えていた。瞬きする間にその顔はもうきゅっと唇を噛み締めた顔になっていた。
「早く!」
その声と共に人混みがカーリーを流した。彼女の金髪はあっという間に見えなくなった。カーリーはじんと熱くなる目頭をなんとか堪えて人の流れを押し退け始めた。ばか、ばかよアンジェラ!危険だとわかっていながらとどまり己の任務を全うするジャーナリズム精神に動揺していた。とどまろうとしたカーリーを虚勢をはりながらも拒絶した。逃げるしかできない自分の非力に腹がたつ。カーリーは頭上の大きな闇をきっと睨み付けた。
「見てなさいよ!!あんたなんか、ジャックが――」また彼に頼ってしまうのが、カーリーの胸を痛める。だが彼女は言い切った。そうしなければ、あまりの恐怖に膝をつき泣いてしまいそうだった。「絶対、止めてやるんだから!!」





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