34. 戦場に現れた大悪魔


「この先に十闘士たちがいるのか?」
 ボコモンの家に安置されていた等身大の鏡を覗き込んで、純平は首を傾げた。見た目はどう見ても普通の鏡。これが薔薇の明星に繋がっているとは到底思えなかった。
「今この鏡にはメルキューレモン様のお力の影響下にあります。問題なく繋がっているかと」
 そう言うなりハグルモンは鏡へと入り込んでしまった。出てきた時と同じように、この場からひょっこりと姿を消す。
 それを見て、拓也達は顔を見合わせた。
「どうする?」
 最初に口を開いたのは輝二だ。輝二はまだハグルモンの言っていたことを完全に信用した訳ではないらしい。もともと、ハグルモンが仕えているメルキューレモンは前回の冒険では敵だった。幾度か一緒に戦いこそしたが、信用するには些か抵抗がある。
「そのことについてだったら大丈夫じゃい」
 考え込む拓也たちに、ボコモンが声を上げる。
 もともと悪の闘士は、闇に染まったケルビモンに仕えていたデジモンがスピリットを使っていた。拓也達がそうであったように、多少の影響はあるものの、スピリットを使用することで使用者の性格が変わるわけではない。それは悪の闘士たちにも言えることで、彼らもまた使用者の悪意のままに暴走を強いられていた。彼らもまた被害者なのだ。
 それを考えると信用してもいいのだろうが、如何せん躊躇いが残る。
「……行ってみようぜ」
 渋るメンバーの中で最初に決断をしたのは拓也だ。
「ここで迷っていても始まらない。今はボコモンを信じよう」
「拓也はん……っ!」
「……じゃあ、俺が先に言って確認してくる」
 真っ先に鏡に突っ込もうとした拓也を輝二が制した。拓也はまだ体調が回復した訳でない。むしろさっきよりも悪化しているように見える。向こう側でなにかあっても対応しきれないだろう。輝二の提案に不服そうに口を尖らせるが、事実なので仕方ない。
「輝二、何かあったらすぐに叫ぶんだぞ」
「……それは不審者に遭遇した場合の対処だろう」
 はらはらと心配そうにしている輝一に、輝二は額を抑えて鏡に向き直る。慎重に右手を伸ばして鏡に触れると、それは水のように輝二の手を受け入れた。それを確認して右足を踏み出して鏡に突っ込んだ。輝二の姿は完全に鏡の奥へと消える。
 少しの間があって、再び輝二が鏡の向こうから顔を出してきた。
「どうやら、大丈夫だ」
「よかったー」
 その言葉を合図に、拓也も鏡へと体を突っ込ませる。
 鏡を通り抜ける時、なんとも言えない妙な浮遊感があった。だがそれは一瞬のことで、すぐに冷たい空気が体を包むのを感じる。
 先に抜けた輝二がふらついた拓也に手を貸した。
「お前、ますます体調が悪化してるだろ」
「ははっ……」
 咎めるような輝二の視線に、罰が悪そうに拓也は視線を鏡に逸らす。次は純平が出てくるが、体が半分出た所で何故か止まってしまった。
「純平?」
「どうした?」
 サッと顔が青くなった純平に、拓也と輝二が首を傾げる。
「……体が、つっかえた」









34.戦場に現れた大悪魔









「……純平。少し、ダイエットしようぜ」
「失礼だな!これでも痩せたんだぞ!」
 やっとの思いで純平を鏡から引きずりだし、なんとか全員が鏡を通って来れた。拓也の無遠慮な言葉に純平は声を荒げるが、今しがた迷惑をかけたばかりなのですぐに誤魔化す様に視線を外した。
「ここが薔薇の明星よね?」
 辺りを見回していた泉が呟く。ハグルモンがすぐそばで待機しているので間違いはないだろう。
 ハグルモンに連れられ、拓也達は奥へと進む。
 薄暗いその空間では壁が吹き晒しになっており、外の様子がよく見えた。外では薄らとデジモンたちの軍勢が見える。もうすぐ戦いが始まるのだと理解できるほどのピリピリとした空気が此処まで伝わってくる。
「あのデジモンたちは……」
「十闘士に仕えるデジモンたちです。中には義勇軍のデジモンたちもおります。……ここはこの世界のコアを守るための最終防衛ラインですからね」
 今このデジタルワールドは他のデジタルワールドのアンデットデジモン軍による襲撃を受けていた。狙いはこの世界のコアであることはわかっている。最大の戦力が集結するのは当然の事だろう。
「コアってなんなの?」
「デジタルワールドを構成する核のようなものです」
 ルーチェモンとの決戦の時に、それは一度失われている。戦いが終わった後の世界再構築の際に新たに生まれたそれは、この薔薇の明星に安置されているという。
「それが奪われるとどうなっちゃうの?」
「この世界は意のままにされてしまいます」
 それを使えば、この世界を好きに作り替えることが出来る。消滅させることも思いのままだ。
 いま世界は上空の大陸とぶつかり合っている。このままでは世界同士が消滅してしまうだろう。それを防ぐにはぶつかり合っている世界を滅ぼすのが手っ取り早い。そのための進撃だと十闘士は考えている。本当の所はまだわかっていないが。
 しばらく歩いていると、先程までの薄暗い回廊とは違う明るい部屋に出た。クリスタルでできているその部屋はかつて、オファニモンがケルビモンに捕えられていた部屋でもある。
 部屋にはいくつかの人影があり、見覚えのあるそれらが十闘士たちの物であると拓也たちはすぐに分かった。
「子供たちをお連れいたしました」
 ハグルモンが淡々と任務完了を告げると、冷たい無機質な声が「ご苦労でした、しばらく待機していてください」とハグルモンに言う。それがメルキューレモンのものだとはすぐに分かった。緑色と鏡の鎧を纏った十闘士は、以前出会った時の雰囲気とはまるで違っていた。ボコモンの言うとおり、前のメルキューレモンの雰囲気は元になったデジモンのものだったのだろう。
 メルキューレモン以外にも他の十闘士は全員揃っていた。1年ぶりに見る彼らは拓也たちの記憶のままの姿でそこに佇んでいる。なんて言っていいのかわからずに硬直していた拓也たちに最初に声をかけたのはフェアリモンだ。
「大きくなったわね、泉」
 長い菫の髪を揺らし、彼女は戸惑う泉の前に立って笑いかける。瞬間、感極まった泉は自身よりも遥かに背の高いフェアリモンに抱き着いた。
「久しぶり!会いたかった!」
 そんな二人の様子を皮切りに、各々が自分と供に戦った十闘士の元へ駆け寄る。
「チャックモン!」
「わー。友樹、僕よりも背が高くなったんだ!」
 友樹は氷の闘士の元へ。
「ブリッツモン!元気だったか!?」
「あぁ、純平こそ元気だったか?」
「もちろん!」
 純平は雷の闘士の元へ。
「ヴォルフモン」
「久しぶりだな、輝二。元気そうで何よりだ」
「ヴォルフモンこそ」
 輝二は光の闘士の元へ。
「レーベモン!また会えて嬉しいよ!」
「俺もだ。大きくなったな、輝一」
 輝一は闇の闘士の元へ。
「アグニモン!」
 そして拓也は炎の闘士の元へ駆け寄った。
「久しぶりだな!元気だったか!?」
「もちろんだ。……拓也はあまり元気そうじゃないな」
 少しふらふらしている拓也を見て、アグニモンは眉を潜めた。
 本人は元気なように振る舞っているが、目に見えて辛そうだ。
「ちょっと風邪気味なだけだって!」
「……そうか。無理はするな」
 明らかに風邪気味を通り越しているように見えるが、アグニモンはそれ以上何も言わなかった。
「……?」
 その時のアグニモンの目が些か苦しげに見え、拓也は首を傾げる。
「……はいはーい。感動の再会もいいけど、本題を忘れてなーい?」
 子供たちのおかげで柔らかくなった雰囲気を、他の闘士はしばし微笑ましげに眺めていたが、やがて崩れた壁の残骸の上に座っていた水の闘士であるラーナモンが立ち上がって手を叩いた。
 その呆れ交じりの軽い口調に懐かしんでいた闘士たちが我に返る。それと同時に、外が騒がしくなった。

「ほらー。もたもたしてるから敵が来ちゃったじゃないの」


*******


 空に浮かぶ大陸の内の一つが、眩しく光輝いた。それは間近にある太陽の如く他の大陸に光を届ける。永遠の闇に包まれているこの闇の大陸にも、例外なく分厚い雲の間から光が差した。それは森を超えた先にある薔薇の明星を神々しく照らしだす。
 その光景を遠くの高台から眺めるのは、赤いマントに身を包んだヴァンデモンと、濃い栗色の髪に暗い緋赤銅の瞳をした少年だ。
「儀式がスタートしたな。こっちは何番目だっけ?」
 少年の言葉にヴァンデモンは「3番目だ」と答える。
 じゃあ割とすぐだなと楽しげに笑い、高台の下にいる軍勢規模のアンデットデジモンたちを見下ろした。そして少年は「タイムリミットは30分後だな」と言う。
 ヴァンデモンは、バサリとマントを広げて配下のデジモンたちに向かって宣告する。

「さぁ、宴の始まりだ!」
 

*******


 あれから十闘士は言葉もほどほどに、ほとんどの者が慌ただしく外へ飛び出して行ってしまった。
 部屋に残されたのは子供たちと光と闇と鋼の闘士だけだ。
「……なんか、怖いね」
 重苦しくピリピリして雰囲気に、友樹はポツリと呟いた。そう思うのも仕方がない。どうやら本題の敵との全面戦争がこれから始まるらしい。いきなりのことに子供たちは困惑するばかりだ。
「なぁ、戦況はどうなっているんだ?」
 拓也が問うと、メルキューレモンは淡々と説明を始める。
 北の森の戦線指揮にはアルボルモンとラーナモン、西はグロットモンとチャックモン、東はアグニモンとブリッツモン。フェアリモンは上空と南の指揮を、戦況によってはブリッツモンも空中戦に。ヴォルフモンは城の防衛軍の指揮。レーベモンは子供たちの護衛。メルキューレモンは情報伝達と全体の指揮という布陣らしい。さっと大雑把に説明されたが、本当はもっと細かく役割分担がなされている。
 今回は相手も敵も全勢力をぶつけてくるので、事実上これがアンデット軍との最終決戦だろう。今まで以上に激しい戦となるのは間違いない。
「俺達にできることはないのか?」
「ありがたい言葉だか、気持ちだけ受け取っておく」
 輝二の進言に、ヴォルフモンはゆるゆると首を振った。
 本当の所を言うと、拓也達がここに来てしまったと言う時点でかなり予想外の事態なのだ。それに拓也達は戦えないうえに、敵に狙われる可能性もあるという厄介な立場。有体に言えばお荷物状態なのだ。
 その事実に表情を曇らせる子供たちを尻目に、腕の鏡を覗き込んでいたメルキューレモンの目が険しくなる。
「東からレアモンの大群。推定100体以上。はじまりますよ」
 メルキューレモンの言葉から間もなく、遠くから雄叫びのような物が轟いてきた。次いで休む間もないほどの爆発音が雪崩のように聞こえてくる。どうやら開戦したようだ。遠くの戦線では早くもたくさんのキラキラとした点のようなもの……デジタマが天へと昇っていくのが見える。
「北西の方角より推定50体ほどのマンモンが接近中。相手は巨体。アンデットデジモンではないので、アースクエイクで地盤を崩して一気に叩けるはずです。東の空からはスナイモンの群れ。あの鎌の射程に接近される前に、遠距離攻撃で撃ち落としたほうがいいでしょう」
 メルキューレモンは淡々と鏡に向かって指示を飛ばす。その様子を見ながら、ヴォルフモンやレーベモンも戦線にいると思われる部下に小さな鏡で指示をしている。
「あまり気に病むな。お前たちに落ち度は何もない」
 その様子を見ていることしかできない歯がゆさを噛みしめ、デジヴァイスをにぎりしめながら、拓也たちは戦っている十闘士たちの無事を祈る事しかできない。
(ホントに何しに来たんだよ、俺達は……)


 戦況はこちら側が優勢らしい。戦列もさして崩されることなく維持できている。防衛戦としては上出来だ。
 だが、それはすぐにひっくり返されることとなる。


*******



 開戦から半刻ほどして、それは突然東の空から現れた。分厚い漆黒の雲を裂き現れた二股の尾と長い顎を持つそれは、薔薇の明星の城くらいはあるのではないだろうか。赤く巨大な体躯のワニの姿をしたデジモンに、戦場は一瞬敵味方問わず静まり返った。
 東の戦線を指揮していたグロットモンもチャックモンも、ソレの言い知れぬ嫌な気配に背筋が冷たくなるのを感じる。
 見たことのないデジモンだ。しかし、グロットモンもチャックモンもそれとよく似た気配を持ったデジモンを知っていた。
「ルーチェモンなの…………?」
 チャックモンがぽつりと呟く。かつて自分たちが戦った相手と酷似した気配を持つそのデジモンは、空高くから戦場を見渡してニヤリと笑ったかと思うと、その長く太い尾を大きく揺らした。
「! 下がれ!」
 その様子を見て、二人の本能が警報を鳴らす。グロットモンの叫びが前線に届く前に、長い尾が戦場を薙ぎ払った。その風圧に離れていたグロットモンもチャックモンも吹き飛ばされそうになるがなんとか堪える。敵も味方も地面も何もかもを抉り、一瞬にしてたくさんのデジタマが浮かび上がる。それは空に帰る前に、巨大なデジモンの口の中へ吸い込まれていった。
 その光景を目の当たりにした東側は、次の瞬間には大パニックに陥った。
「おい……嘘だろ?」
 グロットモンの言葉は断末魔のような悲鳴に掻き消される。
 一気に崩壊した戦線は敵味方入り乱れて収拾がつかない。慌てて指示を飛ばそうとするも、この状態ではチャックモンたちの声は仲間に届きはしない。
『グロットモン!チャックモン!撤退してください!』
 手持ちの丸鏡からメルキューレモンの指示が飛ぶ。
「でもまだ仲間たちが!」
 チャックモンは躊躇うがここは戦場だ。パニックで我を忘れた者が生き残る資格はない。
 再び尾が戦場を薙ぎ払う、それは真っすぐにチャックモンのいる場所へ向かってきていた。咄嗟に判断が出来なかったチャックモンはその場に立ちすくむ。
「何やってんだ!」
 その小さな体が持ち上げられる。いつスライドエボリューションをしたのだろうか。グロットモンではなくギガスモンがチャックモンを抱え上げて走り出していた。しかし尾から逃れるためには後少し時間が足りない。それを悟ったギガスモンは抱えていたチャックモンを放り投げた。
「え!?」
 状況が理解できぬまま、チャックモンは固い地面に背を打ち付けられた。体勢を立て直した彼の目に飛び込んできたのはデジコードに包まれ、デジタマと化したグロットモンだった。デジタマの周りには、2つの土のスピリットも見える。

 それは空に浮かぶことなく唖然とするチャックモンの目の前へ落ちてきた。


*******


「コアを持って、薔薇の明星を放棄します」

 縦横無尽に戦場を飛び回る悪魔のような巨大デジモンに、そのような判断が下されるまでさして時間はかからなかった。だが、その判断が下されるにも遅すぎたようだ。
 西と北の戦線が壊滅したのは、メルキューレモンが撤退指示を出した直後だった。 

「チャックモン!」

 ヴリドラモンに進化したアグニモン、フェアリモン、そしてブリッツモンがそれぞれデジタマを抱えて、揺れる城の中へ戻ってきた。チャックモンとグロットモン、そして北で戦っていたアルボルモンとラーナモンのものだ。
 進化を解いたアグニモンの手から、友樹はデジヴァイスを持ったまま、チャックモンのデジタマへと手を伸ばす。すると友樹のデジヴァイスが光り、二つの氷のスピリットと供にデジタマがそれに吸い込まれていった
「……それがある限り、まだチャックモンは生きていると言うことだ」
 アグニモンの言葉に希望を持った友樹は、唇を噛み、涙を堪えてデジヴァイスを握りしめた。
「……グロットモンのデジタマとスピリット、俺が預かってもいいか?」 
 その様子を見ていた拓也は、自分のデジヴァイスを持って問う。アグニモンは短く了承の意を示すと拓也にデジタマとスピリットを渡す。それは友樹の時と同じようにデジヴァイスに吸い込まれていく。
「私も……」
「俺も預かるよ」
 泉と輝一もそう進言する。フェアリモンもブリッツモンも何も言わずに二人にデジタマとスピリットを渡した。
「早くコアを持ってここを脱出するぞ」
 それを見届けた後、アグニモンは言う。あのデジモンがいつ此処を攻撃してくるかわからない今、此処でもたもたしていてはチャックモンたちの二の舞になってしまう。

「そのコアって言うのは、もしかしてこれのことかな?」

 そう動き出そうとした瞬間に楽しげな声が響き渡る。いつからそこにいたのか、赤いマントを羽織った吸血鬼のようなデジモンが入り口に佇んでいた。
 その後ろにはフード付きマントを纏った少年のような人影もいる。その少年の手にはデジコードが中で渦巻くガラス玉のような球体があった。
「警備を付けるのであれば、もう少し腕の立つ者を用意するべきだったな」
 それがコアなのだと拓也たちが理解する前に真っ先に飛び出したのはフェアリモンとブリッツモンだ。
「ニョルミルサンダー!」
「ブレッザ・ペタロ!」
 二人の攻撃が容赦なく少年と、そのデジモンに襲い掛かる。
 しかし、少年は臆することなく無言のままコアを頭上に掲げる。するとコアは強く光り、中からデジコードが飛び出す。それは技を相殺すると、二人の体を包んだ。そして次の瞬間には二人はデジタマとスピリットになって水晶の床に落ちる。それは、一瞬の出来事だった。
「…っ!フェアリモン!」
「ブリッツモン!」
 叫び、デジタマに駆け寄る泉と純平を見て、少年のフードで見え隠れしていた口元が弧を描いた。
「流石にコアの前では十闘士も無力なもんだな」
 そして紡がれた声を聞いて、拓也たちに衝撃が走る。
「俺と……同じ声?」
 明るい緋赤銅の瞳を見開く拓也に、少年は「あたりまえだろ?」と言って自分のフードを取り去る。濃い栗色の髪を持ち、緋赤銅の瞳をした、拓也と瓜二つな顔が露わになった。

「俺も神原拓也≠ネんだからさ」

 拓也が二人いる。この異様な状況を誰一人咄嗟に理解できない。 
「な……、どういう……」
 拓也が辛うじて声を出すと、コアが再び光りだす。
「これ以上の質問に答える義務はないな」
 拓也たちが言葉を紡ぐ前に、拓也≠ヘ再びそれを掲げた。
 先程と同じデジコードが飛び出す。あれを人間が受けた場合どうなるのだろうか?そんな疑問を持つのも許されぬままに、それは真っ直ぐ動けない子供たちへと襲い掛かり、子供たちの名前を呼ぶ闘士たちの声が響く。

 そして……

「「「「「「――――っ!」」」」」」

 声にならない絶叫と、新たに4つのデジタマが子供たちの前に転がった。




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