恋する動詞111題 | ナノ


恋する動詞111題

短文中心ジャンルごちゃ混ぜ
お題は「確かに恋だった」様
なるべく更新したい…な…



39.伝える 11/07/24/Sun

(ワルフェニ)

ワルターさん。
貴方に伝えたかったことがあるんです。
私は、幸せでした。
悲しいことや、辛いことや、苦しいことも、数えきれないぐらいあったけれど。
シャーリィや貴方や――ワルターさんは、怒るかもしれないけれど――お兄さん達と出会って。
短い時間でも一緒に過ごせて、私は幸せでした。
ああ、ねえ。だから。
どうか、そんなに悲しい目をしないでください。
私と居たことで、貴方が幸せを感じられたかは分からないけれど。
少しでも、そうであったら嬉しいのに。



今はもう音を紡げない唇
(どれだけ思ったって、どれだけ願ったって)
(もう、届くことはないけれど)

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38.気づく 11/07/22/Fri

(コジキリ)

「おりょ、先生ボタンとれかかってますよ」
キリノが俺のシャツの袖を指差し言う。
「お、ホントだ」
持ち上げて確認してみたら確かに二つあるボタンの片方が取れかけていた。
「あたし、縫いましょうか?」
「え、いいのか?キリノ」
提案するキリノの姿は剣道着で今は部活中だ。
現に他のメンバーは各々素振りやら打ち込みやらをしている。
せっかくの練習時間を削るのは勿体無い気がして、裁縫セットでも貸してくれたら自分で縫うぞ?と申し出てみる。
「何変な遠慮してんすかー。先生がやったら袖口も一緒に縫い込んじゃいますよ」
「うぐ、それは、確かに…」
キリノに指摘され思わず言葉に詰まる。
「じゃあシャツ脱いでてください。あたし、裁縫セット取ってきますから」
「おお、悪いな」
意気揚々と更衣室に向かう背中に小さく吹き出した。



(あ!どうせならお花の刺繍とかしてあげましょうか?)
(や、それはマジ勘弁してください)
(冗談っすよー)

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37.壊れる 11/06/12/Sun

(ガーゼラ)

ぱきり、と響いた渇いた音に視線を向ければ掌を見つめるゼラスの姿。
「あーあー、割れてんじゃねえか」
ゼラスが握っていたのはどうやら鏡だったらしい。
「強く握りすぎた」
鏡だったものを見つめたままぽつりそう呟くゼラスにガーヴはため息が出る。
握りしめただけで割るとは、流石馬鹿力。
そう思ったが口には出さずゼラスの手の中を覗き込んだ。
「直るか?」
ゼラスの言葉にガーヴは思わず顔をあげた。
まったく、こいつは。
「壊すならまだしも、直してどうすんだ。俺らは」
魔族だぞ。
そう答えればゼラスは数度瞬きをし、そうか、と納得した顔で頷いた。


(滅びを望む魔族の性質を、まるで理解しちゃいない)

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36.傷つく 11/06/12/Sun

(スヴェノマ)

「くたばれ」
真顔でそう吐き捨てたノーマの目はまるで死んだ魚のようだ。
「ひでえ!傷付いた!俺はもう深く傷付いたぞ!」
「うっさい。ししょーでしょ、あたしの友達にあることないこと吹き込んだの!」
よよよと泣き崩れながら(もちろん嘘泣きだ)訴えるスヴェンにノーマは冷たい視線を浴びせた。
「あることないことって…ノーマが部屋の天井の模様が怖くて一人で眠れないとか料理に塩と間違えて片栗粉ぶちこんだこととか?」
「そんなことまで言ってたの!?」
「あ、やべ」
聞いた覚えのない話にノーマの怒りは更に増す。
「ししょー、今日からしばらくご飯抜き!!」
「ええ!?んな殺生な!」
「深く傷付いたのはあたしの方だっつの!しっかり反省してよね!」
そう言い残しその場を後にしたノーマに、スヴェンはがっくりと肩を落とした。

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35.求める 11/06/02/Thu

(文そう)

「そんなわけで、はい!」
ずい、と目の前に差し出された両手を訝し気な表情で見つめ口を開く。
「そんな訳も何も、話が繋がっとらんぞバカもん」
「今日あたしの誕生日なんです」
「それは聞いた」
「だから、はい!」
「……あのな、」
わざとやってるだろう、と問う前にそうこが声を被せてきた。
「誕生日のお祝いに、潮江先輩とお出掛けしたいです!」
「………」
満面の笑みで言われ、思わず言葉に詰まってしまった。


特別だと思っても良いのだろうか
(取り敢えず差し出された両手は無視してその頬をつねってやろう)

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