恋する動詞111題 | ナノ


恋する動詞111題

短文中心ジャンルごちゃ混ぜ
お題は「確かに恋だった」様
なるべく更新したい…な…



44.眠る 11/11/12/Sat

(セネシャリ)

どろどろに溶かされた意識の中で微かに自分を呼ぶ声がする。
それは次第に大きくはっきりしたものに変わる。
優しい声。
ずっと側に居た彼女の声だ。
その声と微睡みが心地好くて後5分だけ、と唸るように呟く。
もう、しょうがないなあ。
呆れたような口調とは裏腹の声色に安堵し、眠りの波に身を任せた。



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43.祈る 11/11/02/Wed

(クロシャリ)

「シャーリィの誠名は、祈る人と言うんだな」
クロエの言葉にシャーリィはぱちぱちと数回瞬く。
「どうして知ってるの?」
「ノーマが教えてくれたんだ。間違っていたか?」
「ううん。合ってるよ」
肯定を示せばクロエは安堵したように笑った。
「綺麗な誠名だな」
「…昔は、嫌いだったんだけどね」
シャーリィの言葉にクロエは目を見開いた。
言外に何故?と問われ苦笑を溢して見せる。
「私には、過ぎた誠名だから」
メルネスとして生まれ、将来を期待されて付けられた誠名。
しかし、儀式を失敗したあの日から自分には誇大なものとなってしまった。
「シャーリィ…」
「でも、今は違うの」
凛とした響きを持ったシャーリィの声に思わずクロエは息を飲んだ。
「フェンネスの名に恥じない人間になりたい」
「…なれるさ、シャーリィなら」
「本当?」
「私が保証しよう」
淀みなく言い放ったクロエにシャーリィは破顔した。

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42.応える 11/10/25/Tue

(こへ恵)

学園の前に生える大きな木の枝に座り込んでどれくらい経っただろうか。
遠くを頻りに見渡すが探す姿はまだ現れない。
普段の自分と比べれば大分大人しく待っていると下から小松田さんの声。
「まだ帰って来ませんかー?」
それに頷いてみせるとそうですか、と納得したように門の中へ消えた。
ふと道の先を視線で辿れば夕暮れの中に見知った藍が見えて思わず立ち上がる。
相手はまだ気付いていない。
「恵々子ちゃーん!」
大きく手を振りながら名前を呼ぶと藍が顔を上げこちらを見やる。
穏やかな微笑みで応えてくれた恵々子ちゃんにこちらも笑顔を返し。
お迎えの目的を果たす為に木からするりと滑り降りた。



忠け(ry お出迎えこへ。

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41.憂う 11/08/05/Fri

(馬猿)

ここは、暗く静かだ。
時々聞こえるのは見回りの足音と扉の開閉の音くらい。
――あいつも、こんな風にここで過ごしたのだろうか。
声を出すのも億劫だった。
馬鹿馬鹿しい。死んだ奴のことなんか考えて何になる。
内心で悪態をついて舌打ちをした。
死を悼む気持ちなど欠片もないのに。
ああ、それでも。


(お前の馬鹿みたいな笑顔ばかりが思い浮かんでくるなんて、)
(なんて、忌々しい)



びえる…ではない…はず←

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40.疑う 11/07/24/Sun

(ゼロフィリ仔ヴァル)

「ゼロス!居るんでしょう!?出てきなさい!」
「おや、五月蝿い金切り声が聞こえてくるかと思ったらフィリアさんでしたか」
「ゼロス!貴方、店の商品荒らしていったでしょう!?」
「商品?何の話です?」
「白々しい!店にあった骨董品を倒したり割ったりしたのは貴方でしょう!魔族の貴方以外に考えられません!!」
「心外ですねえ。魔族だからという理由だけで僕を疑ってるんですか?」
「魔族がすることは全て悪事と相場で決まってます!」
「アメリアさんみたいなこと言いますね…。まあ、強く否定はしませんが。でも今回のことに関しては僕は無実ですよ」
「まだ言い逃れるつもり?これだから魔族は…「母さん」
「あら、ヴァル。どうしたの?」
「…その、お店の壺、割っちゃったの、ボクなんだ」
「まあ…どうしてそんなことを?」
「ネズミが出たから、退治しようと思って。追いかけ回して、気付いたら…」
「店の中に入っちゃったのね?」
「うん……ごめんなさい、母さん」
「良いのよ、ちゃんと謝ってくれたんだもの。でも今度からは気を付けましょうね」
「うん。母さん、ボク約束するよ!」



(散々人のことを疑っておいてこんなオチですか…)
(ゼロスは人じゃなくて魔族じゃん)
(あら、貴方まだいたの。早く居なくなってくださらない?)
(………)

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