7日の彼女;stage of the love 後編 それから俺たちの間で沈黙が流れる。 その沈黙を破ったのは名字さんだった。 「それから、ずっと気持ちを隠してた。藤真君すごく人気があったから私とじゃ釣り合わないし、言って振られたらって思ったら怖くて。 でもね、高3の時に湘北との試合を見に行ってその時の藤真くんのことを見て、あぁ悔いは残したくないなって思ったの。 それで、告白しようとおもってたのに藤真君は来なかった。ああ、振られたんだな・・・「え?告白・・・?」 俺は黙って名字さんの話を聞いていたが、告白?来なかった?いったいなんのことだ? 「私、9月の始業式の日に手紙を藤真君の下駄箱に入れてたの。放課後、中庭で待ってるって書いて・・・「俺、それ読んでないよ。」 たぶん当時付き合ってた子の仕業だろう。 その子はとにかく束縛が激しくて勝手にロッカーのなかや机の中、もちろん下駄箱まですべて俺のものをチェックしていた。 彼女は俺の方を向くと 「え・・・うそ・・・。」 「本当だよ。」 そういうと、彼女は椅子から床へとへ垂れ込んだ。 とっさに俺は、立ち上がり彼女を支えた。 「・・・な、なんだ。そ、そうだったんだ・・・。私、ずっと振られたと思ってた・・・。」 そういうと、片腕で俺に見られないようにだろうか、目元を抑えた。 「名字さん・・・」 「で、でも、当時告白してても結局は振られてたもんね。直接言われなかっただけでさ・・・」 そういうと彼女の方が震え出した。 きっと泣いているのだと思う。 彼女が落ち着くまで俺はそのまま顔を見ないようにして側にいた。 少し落ち着いたのだろう。彼女が立ち上がる。 「藤真君、ごめんね。変な話しちゃって・・・私、帰るね。」 そういい帰ろうとする彼女の腕を俺は掴んだ。 「・・・藤真君?」 「まだ、俺の話は終わってない。だからもう少しだけ付き合って」 そういうと俺は彼女の腕をそのまま掴んで、廊下を進み外へと出る。 そのまま向かったのは中庭だった。 「藤真君、ここ・・・」 「名字さん、こんなこというのは変かもしれないけど、やり直しさせてほしいんだ。」 「え?やり直しって?」 「俺は知らなかったけど、高3の時こうして俺のことを待っててくれたんだろ?だから、その時のやり直しをさせてほしい。 けど、今度は俺から君を連れてきた。だから俺から君へ気持ちを伝える」 その言葉を聞いて名字さんはすごく驚いた顔をした。 「名字さん、俺、君のことが好きだ。」 *** 「・・・と男性が恋に落ちるまでには七つの段階があります。」 今は、俺の大学での最後の講義中、普段なら寝ているような話なのに俺はその日は集中して話を聞いていた。 なんだか操られてたみたいで癪に障る話だったけど、今の俺にはどうでもいいことだな。 「それじゃ、今日の講義はここまで」 講義が終わると俺は教室から出てある場所へと向かう。 「おー花形!」 「藤真、またせたな。」 「もう他の奴らはいるぜ?さ、中に入るぞ!」 そうあの彼女と再会した日に飲んでいた飲み屋だった。 数時間後・・・ 「ようやくだぜ。花形ぁ〜」 「ああ、よかったな藤真。」 飲み過ぎたのか千鳥足になって同じことを何度も言いながらふらふらと歩く俺を、少し飽きれた目をしながらも介抱してくれる花形。 ブーブー 俺を支えていた花形のポケットに入っていた携帯電話は激しく震えた。 「藤真。ちょっと悪いな」 花形は、携帯の着信相手を見ると直ぐ俺に声を掛け、支えてくれていた腕を離した。 「おお〜なんだ、花形。女か?俺もなぁ〜」 俺は酔っていたこともあり前など見ていなかった。 ドン どうやら誰かにぶつかったらしい。 相手は、衝撃でその場にしりもちをついた。 「あ、すみません・・・」 相手に謝罪の言葉を掛け手を差し出すと顔を上げた相手と目があった。 「名前!来たのか!」 「健司君。またそんなに飲んだの?」 ぶつかった相手は彼女で、俺をみてふわりと笑った。 すると、電話を終えた花形が俺の元へと走ってくる。 「悪い、藤・・・あ、名字さん。」 「花形君、こんばんわ。ここで会うのも二回目ね」 俺の元について、名前がいることに気づいた花形。 花形に笑いかける名前をみて少し俺は嫉妬した。 「おい名前!花形なんかみて笑うなよ。捕られたらどうするんだ?」 「はいはい。大丈夫よ?花形君には浅海さんがいるんだから。」 「そうだぞ、藤真?名字さんは藤真が好きなんだし、お前もそうだろ?捕ったりなんかしないさ。」 そう。俺と名前はあの日から付き合い始めた。 俺が本格的に気になり始めた偶然再会した日から、正味7日間分の時間しか一緒に過ごしてないけれど、 このタイミングじゃなかったら今はこうはなっていなかったかもしれない、 「藤真君」 「名前」 2人で顔を見合わせると、花形が見ていない隙にキスをした。 7日の彼女 Fin… |