どうしてこんなことになったのだろう
今はなにをいっても伝わらない
繋がらない電話はただ虚しく機械音を鳴らしていた。

14.『あの日シャッターを切ったのは』

告白をした後、お互いに黙っていたが暫くすると神は、「返事、今すぐじゃなくていいですから。考えてみてください」そういって帰っていった。

名前は、何が何だか分からずその場で立ち尽くしていたが、暫くすると家に向かって歩き出す。
家に着くと鍵を開けて中に入り、そのまま玄関に座りこみ考えた。

まさか、神君に告白されるなんて・・・私とっては全くの想定外だ。
少し前に7年ぶりに再会した後輩。あの時よりも背は高くなり、大人っぽくなった。
バスケで努力する姿、先ほどの男らしい姿。
確かに神君は魅力的だ。

だけど、それでも、私は神君を恋人とかそういう目でみたこともないしおそらく見れないだろう。
やはり私の中ではかわいい後輩なのだ。
それ以上でもそれ以下でもない。

参ったな。と呟くと、廊下に置いたカバンに入っている携帯のランプが点滅していることに気づいた。
そうか。マナーモードにしてたから気づかなかったのか・・・と呟き相手を確認すると

着信あり:流川楓

「流川君・・・」

急いで折り返そうかとも思ったが時間はすでに0時を指そうかという時間。
寝ているかもしれない。明日掛ければいいよね。そう思いかける手を止めた。


翌日
そろそろ部活終わったころだよねと思い流川に電話を掛ける。
だが何コールしても相手につながることはなかった。
それから何回か連絡してみても繋がらない。
もしかして合宿とか遠征かな?
そうも考えてみたがそんな話は聞いていない。
仕方なくメールを打つことにした。

「送信っと。」

気になりはしたものの、メールも送ったことだし流川の連絡を待つことにして夜も遅いし最近課題やらで睡眠不足だったこともあり、眠ることにした。


それからメールを送って2日たった朝。
着信も残っているはずなのに今でも流川から連絡はなかった。
時間をみて何回か電話はしてみたものの結果は同じ。
正直なにかあったのではないかと心配になる。
海南大にいってみるかな・・・と、そうも考えたが、今、神君に会うと思うと気が引けてしまう。

そんなことを考えていたが、時計をみると朝の9時を指していた。2時限目から授業に出なくてはならない。今は悩んでるところではないと思い直し出かける準備を始めた。


学校につき授業に出てもどこか上の空だった。
友人名前に相談してみようかなとも考えたが今日は学校には来ていないようだった。
一通り授業も終わり家に帰ろうと歩き出す。
だけどまっすぐ家に帰ってもまた考えてしまいそうで嫌気がさした。

「気晴らしに寄り道でもしようかな・・・」
そう思い立ちまっすぐ家に帰るのはやめ、街につくとちょうど読みたい本が出ていたことを思い出し本屋に立ち寄る。
目的の本を探しぐるぐるとめぐりようやく見つけた。

「あ!これこれ!」
これ泣けるんだよねー。と心の中で呟きながら最近人気の女流作家の小説を手に取る。

すると、後ろから声を掛けられ振り向くと以前流川と横浜で買い物をしているときに出会った桜木がそこに立っていた。

「名前さんですよね?ルカワのカノジョの!」
「あ!確か桜木くん?だったよね!こんばんは。あ、ちなみに私は流川君のカノジョじゃないよ?」

自分がいったことに苦笑しながら答える名前をみて桜木は

「そーなんすか?・・・ハッ!ま、まさかルカワの野郎がなにかして別れたとか?!」
「ち、違うよ!元々付き合ってないよ?私と流川君は、友・・・」
言いかけて迷う。友達?いや、知り合い?どうなるんだろうかと。

先を言わない名前の様子をみた桜木はひらめいた!という顔をして

「それより名前さん!今お時間はありますか?よかったら食事でも!」

確かにおなか減ったなと時計を見ると7時半すぎたところ。
家に帰って作るのも面倒だし、たまには。と思い名前は、誘いに乗ることにした。

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