突然の話に驚く そろぞれの思いは交差して 交わることはない 13.『あの日シャッターを切ったのは』 友人名前が帰った後、名前は神に電話をかけると、今週の金曜日午後8時、神の部活が終わった後に会うことになった。 正直、海南大で待ち合わせするのは気が引けた。 なぜなら流川とはあの日以来あっていない。 課題の締め切りやらなんやらで時間が作れず見に行くことが出来なかったからだ。 そして今日がその金曜。 今日締め切りだった課題を提出し終えて、ホッと一息ついた頃にはそろそろ海南大に向かわないと間に合わない時刻をさしていた。 「じーんさーん。もう帰るんすか?」 清田はいつもなら当然残っていく神が既に帰る準備しているのを珍しく思い声を掛ける。 「ああ。今日はちょっと約束があってね」 「じゃぁ、俺も・・・」 「ダメ。」 いつもならいいよ。というだろう神は、今日ばかりは着いてこられると困ると思い即座に拒否する。 「えーなんですかぁ?あ!もしかして女っすか?!」 「まぁそんなところかな?」 「え?!そーなんすか?じゃぁ名前さんと付きあ・・・」 「声が大きいよ信長」 清田が大きな声で言いかけると即座に神は清田の口を塞いだ。 そんなやり取りをしていると神は密かにこちらを見る視線に気づいた。 「・・・」 「・・・ぐ・・・じ、神さん、・・・ぐ、ぐるしい・・・」 「ごめん。ごめん。ま、とにかく今日は帰るから。また明日な」 「はい!神さんお疲れっす!!」 神は、清田の元気な返事を聞きながら体育館を後する。 それから少し経った後流川が清田に声を掛けた。 「・・・おい」 「なんだよ流川。」 「・・・付き合ってんのか?」 「は?誰が?」 珍しく流川が話かけてきたと思えば、突然、付き合ってるのか?と聞かれてなんだコイツは?!と清田は思う。 そんな姿をみても特に気にする様子もなく流川は言葉続けた。 「名前さんと先輩」 すると、その一言を聞いた清田はニヤッとした顔になり 「・・・ははぁーん。もしかして流川、名前さんのこと好きなのか?」 「・・・別にそんなんじゃねー」 「じゃぁ気にならねぇよな?そんなこと。」 黙り込む流川を見て、正直神の気持ちを言っていいものかと迷ったがここは言うべきだと思い、話をした。 「・・・さあな。付き合ってるかはしらねぇけど、神さんが名前さんのこと好きなのは間違ねぇ。もうずっと前から好きなんだってよ。まぁ名前さんは、優しいしキレイだもんな!神さんが惚れるのも無理ないぜ!」 「・・・そうか」 それだけ聞くと流川は清田の元から去った。 「まずい!遅刻しそう!!あーもーなんでこんな日に限って教授につかまるかなぁ」 そのとき名前は走っていた。 約束の時間に間にあうだろう時間だったというのに、校門へ向かう途中教授に会い話し込んでしまったのだ。 腕時計をみると8時10分を指そうとしている。 あと少し!そう心で呟きつつ走ると校門の前に神の姿を見つけた。 「神君ー!!!!」 「名前さん。」 遠くから自分を呼ぶ声に気づき手を挙げて神は答える。 「お待たせ!待ったでしょう?ごめんね。遅くなって。」 「名前さん、大丈夫ですよ。今来たところですから」 つくなり息を整えながら謝る名前に神はニコッと微笑んだ。 もう大丈夫かな?とタイミングを見計らい 「じゃぁ行きましょか。この近くにおいしいお店があるんです。」 そういうと2人ならんで、お店に向かった。 お店につくとそこは最近できたフレンチレストランで、落ち着いた雰囲気の女性客やカップルなどに人気のお店だった。 早速席につくと、料理を注文し待っている間、 「神君、部活お疲れ様。今日はよかったの?シューティングの練習は」 「はい。今日は昼に済ませたんで大丈夫ですよ。」 「そっか!毎日頑張ってるね!!」 話す機会は少なかったが、神が毎日シューティングをしてることを名前は知っていた。 神は名前からの発言を聞いて見ていてくれたんだと嬉しくなった。 その後、昔の話をしているとあっという間に料理が運ばれてきたので食べ始めた。 名前は、昔の話ばっかりしちゃったけど神君話があるんだよね。と思い出し、神に問うと食事が済んだら話しますね。といいまた2人は黙々と食べ始める。 暫くすると食事も終わり神が話はじめた。 「名前さん。流川とはどういう関係なんですか?」 「・・・え?急にどうしたの?神君」 「いや、写真の件のことは知ってます。けどどうして流川なのかなって思って」 いきなり何故そんなこと聞くのかわからず戸惑う名前。すると先ほどよりさらに真剣な顔をして神は、 「そのモデル。俺じゃダメですか?」 と一言言った。 その言葉を聞いた後、しばし考えて意を決して話をはじめた。 「私ね、ある理由があってここ数年人物写真が取れなくなったの。そんな時に出会った流川君を見てようやく人を撮りたいと思えた。 だから、私はそう思わせてくれた流川君をどうしても撮りたいの。ほかの人を撮るなんて考えられない。流川君じゃなきゃダメなの。」 ハッキリ言い放った名前を見て、神は少し寂しそうな顔をしながら言った。 「・・・そうですか。あの、そのある理由っていうのは?」 それは・・・と、答えようとした時、店員から声をかけられる。 「お客様、そろそろ閉店のお時間です」 そう言われ慌てて席を立ちあがる。 お金・・・と言い神君に渡そうとすると、 今日は俺が誘ったからいいんですよといい断られてしまった。 店をでると夜だというのに生温い風が吹いてきた。 もうすぐ夏がやってくるのだ。 会計を済ませた神は、送りますといい二人並んで家へと向かう。 道中、2人は無言だった。 神はさっきの話の続きを聞いては来なかった。 あと少しで家につくといった所で急に神は足を止める。 「名前さん」 呼び止められ、なに?といい名前は、足を止めると神は名前に近づき抱きしめた。 「え・・・ちょっ!神君どうしたの?!」 突然のことで、驚いた顔をすると、 「・・・好きなんです。俺、昔から名前さんのこと好きなんです!」 |