Ich liebe dich


今日は朝からチョコレート漬けだぜ…

メイド、ポスト、登校中、靴箱、机の中、ロッカー…



◎バレンタイン◎



「あ、…跡部様…っこれ受け取って下さい…!」
「おう、サンキューな」


何回言った、この台詞。
別に欲しい訳じゃねぇのに
機械的にもらったチョコを段ボールへ。
くれた奴の気持ちを考えたら悪いが、コレら全部は執事や樺地にいくだろう。
何でバレンタインはチョコレートなんだよ、アーン?


「チョコレート会社の策略でしょ」
「…名前」


独り言が聞こえてたか。
コイツは俺に媚びねぇしキャーキャー言わねぇからこうして普通に話せる。
女子ではコイツだけだな。


「跡部“様”はすごい人気だねぇ?」


“様”をわざと強調し俺をからかう名前。


「ハッ…当然だろ」
「ウザ」
「アーン?」
「まぁ、ホントのことだけど」


そう言い優雅に足を組んだ名前。
氷帝の制服はスカートが短いから見えそうなんだよ、
あの、アレが…パン…ツ…


「何でみんなあんな必死なんだろうねぇ…」


内心照れる俺様の心境を知りもせず窓の外を見ながら呟く名前。


「意志の弱い奴らはこういう特別な日を使って相手に気持ちを伝えることしかできねぇんだよ」
「…フーン…」

「跡部君…ッこれ…」
「おう、サンキューな」


絶えず訪れてくる女子。
その度に名前は窓の外を見る。

“柄にもなく妬いてんのか?”

と思いながら名前の横顔を見た。
綺麗だ。
俺様が言うんだぜ?
この容姿だから名前は女子からイジめられない。

“俺様とつりあってる”からだ。


「部活もスゴそうだね」
「…あぁ、そうだな」


部長だしサボれねぇ。
今日は特にうるさそうだ。


「じゃ、あたし帰るね」
「…、そうか」
「はい、ハッピーバレンタイン?」


そう言ういながら立ち上がり俺に小包を渡す名前。


「…、待て」
「なに?」


こいつホントにツンデレだな。
いつもクールなくせにこういうときになるとすげぇ可愛い…。


「ドイツではな、バレンタインってのは男女両方から贈り合うんだよ」
「…、へぇ…」


そう囁き名前の髪を掬う


「だから俺からは、愛を贈る」
「くさ…っ!」
「アーン?お前なぁ…」


こういう時にムードないこと言うなって…
まぁそういうとこも好きなんだと思うのは惚れた弱みだろう。


「ごめんごめん」
「…、Es war Liebe auf den ersten Blick」
「ぇ…?」
「Ich liebe dich」



―…一目惚れだった。


愛してる。

| →
戻る
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -