act.24




「うっそ…」

やってしまった。とんでもないことを。
私は、年に何回かタンスの服を全部出してたたみ直していれる、という一人大整理を行っていて、たった今それの真っ最中だった、の、だ、が…。

「あちゃー…」

途中休憩としてコーヒーを淹れたのがまずかった。服を広げているため座る場所がなく、立ったままコーヒーを飲んでいたらうっかり足を滑らして。

舞うコーヒー。散らばるコーヒー。染みとなって広がってゆくコーヒー。

今の現状を申すとそういうことになる。服はほとんど全滅した。ちなみに制服にも若干染みができた。今着ている服なんて説明できないくらい茶色い染みがついた。あああ最悪だ。そんなわけで生き残った服以外全部クリーニング行き。全く以て最悪だ。まぁでも、今日は土曜で明日が日曜なのが不幸中の幸いだったかもしれない。よかったよかった。

「いや…よくねぇな…」

よりによって生き残った服が前の学校の友達とふざけて買った男子学生服だった。

「嘘だろ…」

女子校のときの若気の至りというものである。嘘ですごめんなさい。多分普通の女子校の子はそんなもん買わない。とりあえず友人がコスプレ好きだとだけ言っておこう。

しかし、くよくよしていても仕方ない。今日行かなければいつ行くというのだ。

そういうわけで腹を括った私は男子用の学生ズボンをはいてワイシャツ(これはこの学校の)を着てカーディガンを羽織ってレッツゴー、クリーニング屋さん。





















「こらー、そこのお前ー!どこの誰だ!!?」

「ぅげっ」

寮を出ていきなり会ってはいけない人物にあってしまった。そう、陽日先生である。教師である。

「…って朝野!!?」

「………………………イイエ、チガイマス。ボクは朝野咲月の双子の兄」

「堂々と嘘をつくな!お前どう見ても朝野だろ」

チッ誤魔化されなかったか。はー、めんどくさいな。なんか処分とかない…よね…?あったら困る。

「まったく…ていうかなんでそんな格好してるんだ?制服?」

あああ説明したくねー!ていうかし辛い。コスプレの道具です、きゃは☆とか開き直れる度胸、私には、ない。言えと命じられたら私はこの学園を去る覚悟でやる。

「あー、これはですね、」

コーヒー乱舞事件を説明してこの服しかなかったというと、陽日先生はしばらく目を点にさせたあと我に返って溜め息をついた。

「お前なぁ…そんなん着て誰かに絡まれたりしたらどーすんだよ…」

「え?」

あ、そうか。違う制服の人が居たら怪しいと思って絡まれるか。現に陽日先生に見つかって怪しまれたし。あちゃあ、全く考えてなかった。

「でも、まぁ、なんとかなりますよ。じゃっ、先生。私、クリーニング屋さん行かないといけないんでこれで」

よっこいせ、と全滅した服をまとめた袋を抱えてその場を去ろうとすると、陽日先生から待ったがかかった。

「なんですかー、もー」

「オレも行く」

「へっ?」

「一生徒の安全を守るのも教師の務め、ってな!」

「はぁ…」

先生はいい笑顔でそうおっしゃった。







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