宇宙食





「梓くんはさぁ、」

「なんですか先輩キスしてほしいんですか」

「引き裂くぞてめー」

高校一年生ってこういう時期なのだろうか…。いやでも同じ翼くんは全然違うぞ、手を握ってくるぐらいでキスしようとか言わないぞ。全国の高校一年生の健全な男子さん是非教えて。

「キスじゃないならなんだってんです」

「宇宙科はどんな勉強すんのかな!て!思って!じわじわ近付くなぱっつん!今日からお前はエロ河童U世だ」

「T世誰です」

「水嶋先生」

「うわあ…胸糞悪いですね」

「じゃあ今すぐ私を組み敷くのをやめないか」

「え?ヤらないか?」

「梓ああああああ!」

だめだこのぱっつんどうにかしないと。
日中から押し倒すとかそれ人間としてどうなのよ。いや夜ならいいってわけでもないけどさ。

梓くんは少し残念がりながら私の上からどいた。さっさと起き上がる私。

「別に大したこと勉強してませんよ。宇宙食とか無重力に関してのレポートとか」

「宇宙食かー…美味しい?」

「はっきり言って微妙ですね」

「あらまあ」

「でもそのくせタコ焼き味とか、味の種類は豊富ですよ」

「ふーん、そうなの」

梓くん持ってないのかな。もし持ってたりしたら少し食べてみたかったな、タコ焼き味の宇宙食。

そう思っていたら、梓くんがふと何か思いだしたように声をあげて、何やらポケットを探り出した。

「なにそれ」

「なにって、宇宙食ですよ」

「なんで持ってんのよ」

「昨日か一昨日にサンプル配られたの忘れてました。食べます?」

「食べる食べる」

わあい。思いがけないところで宇宙食を食べることができるなんて。
ぺりぺりと外袋を開けたあとに、梓くんは急に真剣な顔になって言い始めた。

「実はですね、先輩。宇宙食ってのは人伝いに食べるものなんですよ」

「…つまり?」

「口移しで食べるものなんですよ」

「んなわけあるか」

食べたことはないけど食べ方ぐらいは知っているわ。ナメるな。

「チッ」

「残念だったな梓くん」

「……こうなったら力尽くでも……」

「そんなことしたら木ノ瀬くんと呼ぶ」

「何言ってるんですか先輩!!力尽くで押し倒してキスしようなんて思ってなんかいませんって!!!」

「じゃあまた明日ね、木ノ瀬くん」

「あああなまえせんぱあああああい!」

































◎タコ焼き味の宇宙食うちの学校の天文部にあった気がするんだよなー…
こいつらはどこで喋ってるんだろう




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