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笠松先輩がステージを降りると、黄瀬くんが私の肩を叩いた。
「笠松先輩のとこ行こうよ」
私はそんな黄瀬くんに大きく頷いて見せ、笠松先輩のいる三年生の方にいつもなら絶対やらないだろうに、入っていった。どうやらバスケ部の先輩方でかたまっていたらしく、黄瀬くんがすぐに見つけた。
「笠松先輩!」
黄瀬くんが言った。すると、黒髪の大きな先輩二人と笠松先輩がこっちを見た。笠松先輩は知ってるからいいんだけど他の二人はなんだか大きくて怖い。
「黄瀬お前彼女いたのか!?」
黒髪の小さい方の先輩が言った。か、彼女!?
「ハハ、違うっスよ〜!なまえは俺より笠松先輩のファンっスよね〜」
黄瀬くんがそう言った。いやそうかもしれないけどとりあえず恥ずかしい。
「笠松!お前女子苦手って言ってたじゃん!!」
「うるせぇ!お前に関係ねぇだろ!」
笠松先輩が言った。
え、笠松先輩って、女子苦手だったの?それじゃ今まで私が話しかけてものすごく迷惑だったんじゃ…。
そう思ったら、すごく申し訳なくて、笠松先輩に嫌われてるような気がしてきて、その場にいられず、失礼します!と言って一年生の方に駆け出した。
「なまえ!?」
「おい!」
黄瀬くんや笠松先輩の呼ぶ声がしたが、私は気にせず走った。笠松先輩に嫌われてるならもう会いたくないと思った。何だかとても苦しくて辛かった。
「おい!お前のせいでなまえがどこか行っちまったじゃねえか!」
笠松が森山を蹴る。
「とりあえず彼女を探した方がいいんじゃないか?」
小堀がそう言った。たしかにそれがいい、と笠松も思った。生徒拘束の時間もそろそろ終わる。そうしたら体育館だけでなく校舎全体を探さなきゃならない。そうなる前になまえを見つけなくては。
笠松は黄瀬に探すの手伝え!と言って、その場から動き始めた。
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