『〜♪』
私は朝から上機嫌である。なんていったって今日はスクアーロが長期任務から帰ってくるのだから。何だかんだって2週間も会ってない。電話はしたけどね、やっぱり会いたかった。でも任務だから仕方ないのは私もわかってるし。何も言わずに送り出したけど、スクアーロがいない2週間は端から見ても私は空っぽだったみたいで、ベルには笑われ、ルッスーリアには心配された。
スクアーロもきっと疲れてるんだろうなーって思ってスクアーロの自室に忍び込んで(よくやる)、入浴剤が入ったお風呂やスクアーロの好物のマグロのカルパッチョを作って待ってる。多分そろそろついてもおかしくはない時間なんだけどなーなんて考えれば、どこかからかグラスが割れるような大きな音。あ、帰ってきたみたい。私はウキウキしながらスクアーロの自室を飛び出し、駆け出した。
廊下の曲がり角を曲がろうとしたら、見えた愛しの銀色。
『スクアーロ!!!』
そのままスクアーロに飛び付いた。
「お゛お゛ぉぉぉぉぉ!!!っぶねぇだろうがぁぁぁぁぁぁ!!!」
スクアーロは相変わらずの大声で私に怒鳴ったが、しっかり私をキャッチしていて。
「なまえかぁ…」
スクアーロはそう言うと、抱きついたままの私を俵担ぎした。
『へ?』
「ちょうどいい。部屋行くぞぉ」
スクアーロに抱えられたまま私はスクアーロの自室に戻ってきた。
『ねぇスクアーロご飯にする?お風呂もできてるんだよ』
スクアーロの自室に向かいながらそう尋ねれば、そうだなーとはっきりとしない返事。スクアーロの自室につけば、私が連れて来られたのは寝室。下ろされたのはベッド。
『は?え?スクアーロご飯とお風呂は?』
「んなことより俺はお前不足で死にそうだぁ…」
上着を脱ぎ捨て、ベッドに迫るスクアーロ。これはまずい。
『スクアーロ待って。まずい。今何時だかわかってる?昼だよ』
「2週間だぞぉ?2週間。俺だってなまえに会いたかったし触れたかったんだからなぁ」
スクアーロに抱きかかえられ、膝の上に座らせられる。スクアーロと向き合うように。
「なまえ…」
額と額がくっついて、至近距離でスクアーロと目が合う。ああかっこいいなー。やっぱり。なんて考えてしまう私もいて。ていうか!近い!恥ずかしい!!!
かっこいいなんて思ってた私はつい正気に戻ってボンという音ともに顔が真っ赤になる。
『スクアーロ、ちちち近い!』
「嫌じゃねぇだろぉ?」
嫌じゃないよ!好きだけど!いや言わないけど!!!
でも2週間ぶりにこれは私には少しハードルが高すぎて。恥ずかしいもう無理、そう思った頃にはスクアーロの首に腕を回してぎゅっと抱きついていた。
『恥ずかしいからダメ』
思いっきり抱き締めればスクアーロの匂いがして。ああ、帰ってきたなーって思った。
「う゛ぉ…」
変な声が聞こえたけど、私は構わず続ける。
『スクアーロの好物のマグロのカルパッチョだって頑張って作ったんだよ?ね、食べよう?』
「〜っ!!!わかったから離れろぉ!お前はじゃ飯の準備しとけぇ!」
私はスクアーロの言葉に顔を上げて、わーい!先にいって準備して待ってるね!と、スクアーロの寝室を後にした。
その後一人で顔を赤らめ頭を抱えたスクアーロがいるとは知らずに……。
(アイツ…言ってることとやってることめちゃくちゃすぎるだろうがぁ!!!)
◎あとがき
スクアーロ…攻め気でいくも、彼女のペースに飲み込まれ最終的にヘタレるスクアーロ……。一ヶ月以上温存してました…。ああかけてスッキリ。
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