なまえの家に滞在して早くも2日がたった。もうクリスマスイブである。
『走れそりよ〜♪』
楽しそうに歌うなまえが夕飯の支度をしていた。まるで、新婚みてーな感じする、とは思っていたが言わなかった。
まぁクリスマスの飯は俺の要望通り寿司になったのだが。ちゃんと盛り付けとかしたい!となまえが言ったので、それを待っているのだ。クリスマスが大好きなご様子のなまえはイブの前日、つまり昨日からずっとウキウキしていた。
『ベル!できたー!』
きつきつにパックに詰められていた寿司が皿に盛り付けられて出てくる。うまそー。
「しし、早く食いてー」
二人で食卓について、いただきます、と両手をあわせて言った。
やっぱり寿司はうめーなーと食べながら思った。部屋のすみに飾られたクリスマスツリーと食べてるもののギャップにまた笑いながらベルは食べた。
夕飯が終われば、なまえはじゃーん!と言って、俺に包みを渡した。
『ベルっぽいなーって思ったんだ、それ』
クリスマスプレゼント、と言ってはにかむなまえに俺はししっと笑って尋ねる。
「開けていい?」
『どうぞ』
リボンを引っ張り小さな箱を開くと、ティアラのトップがついたネックレスが入っていた。
『すっごくベルって感じするでしょ?』
俺はなまえにそのネックレスをつけてもらって。
『似合ってるね』
「まー俺王子だし?」
クスクス笑いながらそうだね、と笑うなまえに俺もプレゼントを渡した。
中身は香水で。
『何かいい匂いなんだけどイタリアの大人の女性って感じの匂いする』
私なんかがつけて大丈夫かなー?なんて言うなまえ。
「ま、不安なら王子が大人の女にしてやるけど?」
なんて言えばなまえは顔を赤らめてありがとうってお礼を言った。俺は、ここで誕生日に決意した言葉を伝える。
「本当はその匂いつけて俺のこと思い出せって言うつもりだったんだけど」
ベルがなまえを抱き締めながら言った。
『うん?』
なまえはベルがなにを言いたいのかまだわかっていない。
「お前さ、王子と一緒にイタリア来いよ。王子がなまえを幸せにしてやる」
なまえの体が強張った。
…え?まじ?王子のこれ失敗しちゃった?
大慌てでなまえの顔を見ると、なまえは泣いていた。
『行く。行きたい!ベルと一緒がいい!』
なまえがそう言ったのに俺はなんだか安心して。全身の力が抜けた。
「俺明日の早朝出るんだけどさ。出れる?」
『頑張る!』
涙を流しながら笑って言った。こいつマジ訳わかんねー。泣いてんだか笑ってんだかわかんねっつの。俺も何だか笑えてきて。なまえの頬を流れる涙を唇で伝ってその目尻に優しく唇を当てたのだった。
◎あとがき
最近かいてるベルは何だか優しめのベルです。残酷な性とかどこにあんねんみたいなベルばっか書いてる気がします。フランも最近書いてないからかけるか心配になってきた。とりあえずメリークリスマス!
vicino:(伊)傍に
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