カトレア
79 雷門中vsジェミニストーム
――予告通り白恋中へと現れたジェミニストームにアタシ達は再び挑む事になる。ポジションに入り、ふと視線を反らせば大勢のテレビ局の中継者達が集まっていた。それだけ世間でもこの試合は注目されているのだろう、アタシは小さく息を吸いパシンっと自身の両頬を叩いて、気合いを入れる。 瞳子監督の指示で(普段より)後方に入れられたアタシと吹雪君はお互いに顔を見合わせ、頑張ろうね。と笑いかけた。……そこで試合が開始される。 染岡達FWが相手陣へと切り込むが、相手に容易くカットされてしまった。物凄いスピードで向かってくる相手FWにアタシは集中し、目を凝らす。 (っ、見えた……!!) 特訓のお陰だろうか、相手の動きがはっきりと見える。MFから回され様とするボールをアタシは飛び上がり、カットした。外野から歓声が上がる。……そのままFWへとアタシはボールを回す。それからの試合もアタシ達メンバーは今までの試合とは打って変わって、宇宙人と対等に戦う事が出来る様になっていた。(これも特訓のお陰だろう)そして吹雪君のDF技、アイス・グランドの完璧な守り。 著しく上がったチームの実力に相手側も漸く本気を出したのか、今までとは違う連携を取り始めた。そして相手側キャプテンであるレーゼのシュート技、アストロ・ブレイクが塔子ちゃんと壁山のディフェンスを破り、先制点を決める。そこで前半は終了してしまった。 「ちくしょうっ、あのシュート止められなかった!!」 悔しそうに地団太を踏む塔子ちゃんと壁山に、2人のディフェンスとマジン・ザ・ハンドの三重技があれば大丈夫さ!と守は笑みを向けてフォローの言葉を掛ける。 そこに監督からアタシと吹雪君に視線を向け、口を開いた。 「吹雪君、シュートは解禁よ。後半はFWに上がって。雷鳥さんも普段通りのプレイに戻って良いわ……点を取りに行くわよ」 監督からの指示に吹雪君は驚いた様に声を洩らした。アタシは同意の意味で小さく頷く。回りも監督の言葉に顔を見合わせていた。 栗松が監督にDFはどうするのか。と問えば変わりに鬼道君が口を開く。 「俺達はスピードに対応する特訓をしてきたが、実際に奴等のスピードに慣れるまでには時間が掛る。だから前半は守備の人数を増やしたんだ」 つまり、アタシ達は既に特訓のお陰で十分なスピードは付いていたのだ。……だけど試合ではまだ実際に使っていない為に、相手には対応しきれていない。だから失点のリスクを減らし、ジェミニストームのスピードを把握する為に前半はあの様な作戦を監督は指示したのだ。 漸く監督の意図をメンバー全員が理解し、自信に溢れた表情で皆が笑みを浮かべていた。その表情を監督は見回して頷くと、行ってきなさい。と指示を出してくる。それにアタシ達は力強く返事を返し、グラウンドへ駆けだした。 (反撃……開始、) ――― 今更だけど雷鳥さんの背番号どうしようかな。 2009/11/11 |
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