Another World
ヤンデレ黄瀬くん2

※連載設定の幼馴染黄瀬くんがヤンデレに走りました第二弾。拍手にて続きをと有難いコメントを頂きましたので、調子に乗って第二弾です。
コメント下さった方、有難うございました! 

***

玲の笑顔が欲しい。出来るならオレだけに向けてほしい。オレだけを甘やかして欲しい。そう思うのは変なのだろうか?好きな相手に対してならこれくらいいいとオレは思う。少なくても今まで付き合ってきた女の子たちも皆オレをそうやって縛ってきたんだ。オレだけが可笑しい訳ではない。……束縛されるのは嫌いだが、玲にはしないとオレが持たない。いつ離れて行ってしまうか不安で堪らないから。

「なにそれー変なの」

 楽しそうに笑う玲の声に苛々する。視線を向ければ斜め前の席で隣の奴と楽しそうに話す玲の姿がいて、久しぶりに見たその笑顔に胸が掴まれるような感覚になった。……苦しい。どうしてその笑顔をオレに向けてくれないんスか。嫉妬と独占欲が溢れて頭が変になりそうだ。吐き気さえこみ上げてくる。思わず奥歯を噛みしめ、手にしていた携帯へと視線を戻した。
 ……たまにこれで本当に良かったのか、と思う時がある。自分を傷つけることで玲を縛り彼女の3年間を奪ってしまったことに。でもこうするしか思いつかなかったのだ。玲は優しいからオレが傷つくことを何よりも嫌っている。オレが玲に抱いている”愛情”とは違う“愛情”でオレを守ろうとしているのだ。本人は自覚していないがそれは一種の病気の様なものになっている。オレの望んでいる”愛情”を貰えないからこそそこに付け入ったのだが。
 だからこそ余計に玲が向けるかもしれない“愛情”を誰が貰うのか、それがいつになるのか、それだけが怖い。玲は絶対に手放さない。ずっとずっとオレだけの幼馴染でいればいいんだ。
 ――携帯から玲の携帯にコールをすれば直ぐに視線がオレへと向けられる。少しだけ強張った顔だが自分だけを見てくれていると思うと何とも言えない幸福感が湧き上がってきた。机に置きっぱなしにしておいたシャーペンを空いていた方の片手で掴み、徐に携帯を握っていた手へと振り下ろそうと振りかぶれば玲が悲鳴を上げてオレを抱きしめてくれる。
 手が傷つくことを、オレがバスケを出来なくなることを想像したのだろう。蒼白な顔で携帯を握る手を庇うように自分の手を添えた玲の手が震えていた。

「……楽しそうになに話してたんスか?」
「ごめんなさい、ごめんなさい……っ」

 出来るだけ優しい声で耳元に囁きかければ、声を震わせて謝る玲の頬は涙で濡れていた。オレの為に泣いてくれている。嬉しくて思わず顔が緩んでしまった。
 震える小さな体を安心させるように抱きしめてから手を握ると、静まり返った教室から逃げるようにオレたちは飛び出した。

―――
この後きっと黄瀬くんはクラスの子達にも上手い具合に言いくるめて何事もなかったように片付けたと思う。こんな感じでじりじり玲さんを追い詰めて、昔みたいにわんこみたいに甘えて、甘やかして可笑しくさせて行くと思われる。
連載だと絶対こうはならないだろうなー、なんて思いながら書くから楽しいです。連載玲さんは「この軟弱野郎がああああ!!」とか言って愛の制裁ならぬビンタをしそうですしね(笑)

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3rd.Nov.2013


 
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