山崎と合流できてホッとしたのもつかの間 だった 花宮が呻き声と共に側にいた花子の肩にもたれ掛かった 「花宮くん?!…っすごい汗、それに熱も…!」 「おい花宮?!名無しのさん、俺が…!」 自分よりだいぶ大きい花宮を背中に手を回すように支えた花子だったが、その体が汗ばんでとても熱いことに気付く 息も荒く、体も熱のためか苦しいからか震えているが、それでも寄り掛かった花子から離れようと腕で力なく押す花宮を焦ったように山崎が肩に腕を回させて支えた 「なにこれ?花子サン、どーゆーこと?」 「さっきまで山崎を閉じ込めてたバケモノと戦ってたんだけど、その時に毒ガスみたいなのを…」 「おい花宮、聞こえてるか?」 「…きこえ、てるわバァカ…」 「まだ軽口叩けてるから大丈夫デショ」 プライドの高い花宮とは思えぬ姿に古橋は山崎の肩に寄りかかる花宮を覗き込むように尋ねるが、花宮の返答に原も山崎も緊張した面持ちのなかに少し安堵が見えた 花子は先程の戦いで、自分の目の前に飛び出た花宮の姿が目について離れない 「花宮君、ごめん…!私が…」 自責の念を感じる花子に花宮は苦しさに顔をゆがめながらもいつもの嘲笑うような笑みを浮かべる 「ふはっ、なんて顔してんだよ、バァカ…今はそれより此処を早く出ねぇと…」 ーーーーカツン ズルルッ カツン ズルルッーーーー 廊下の奥から響くような音に、その場にいた全員の呼吸が詰まる 「く、そ…こんなときに」 「…俺達がきた来た廊下側から聞こえる。あっちの薄暗いほうには何もいないようだ」 「いっそアイツがここまで来る前にこっちの廊下突っ切っちゃう?」 「まださっきのバケモノみたいなやつがいんのか…?!」 苦虫を噛み潰したような花宮に廊下側の様子を見ながら古橋が声を潜めて状況を伝える 能天気に聞こえるような原の言葉に、未だ状況を把握しきれていない山崎が声を荒げるが、その不気味な音は徐々に私達のいる教室に近づいてきている 苦しそうに浅い息を繰り返す花宮を見て強く剣を握りしめる なんとか、此処から出て花宮君を…! 「四の五の言ってる暇は無さそうだね…。山崎君、花宮君をお願いね」 「おい、名無しの…」 「病人は黙ってましょうネー」 「原テメェ…!」 「一理ある。名無しのさん。」 私が扉に近づくのをみて声を上げた花宮を茶化すように諌める原と先に進むことを肯定するように目を合わせる古橋の視線に頷きながら、鞘に収めていた剣を抜き構える 恐怖はまだ拭えていない でも、ここで立ち止まっているわけにも いかない 先の見えぬ暗い廊下にまた一歩、踏み出した next 33/34 back |