化学室を出た花子達は来た道とは反対の左側の暗い廊下を進む 向かい合うように化学準備室と物理準備室が並び、通りすぎると右手に生物準備室と生物室、左手に職員室のプレートが暗がりの中でうっすら見える その間も後ろに響く不気味な足音は近くなっている 花子達も逸る気持ちを押さえながらも音をたてないように進む 時折花宮の吐く洗い息づかいが響く 職員室と生物室の扉が半分ほど開いており、思わず足がすくんだ花子だったが中に人影が見えないのを確認して後ろの4人に目配せをしてその間進む___ カタッ ガタ ガタガタッ ドタンッ ガンガンガン...! 「「「っ?!?!」」」 突如通りすぎようとしていた職員室から激しく何かがぶつかるような音が響き渡った 叫びそうになった一同だが、それよりも後ろから響いていた足音が早まり、それに加え呻くような声が聞こえてきて後ろを振り向く 背にしていた廊下の曲がり角から先ほど退けた兵隊のようなゾンビがぬっとでてくるのが見えた 「っこれやばくねぇ?!」 「早くいくぞ!」 「待て!花宮が...!」 「ぅるせ...っクソ...!」 ゾンビを確認してすぐに走り出そうとしたが、花宮を抱えていた山崎が声をあげる 花宮は山崎の支えで立てているが、意識が朦朧としているのか走れる様子ではない 「っ...!原くん!階段先にいって!」 「はぁ?!」 「あそこの階段下ればすぐ体育館だから!」 「ちょっ...名無しのさんは...!」 「階段の方から音はしないし、早く!!」 訳が分からないと言うように声をあげる原と、抗議する古橋に叫ぶように告げて花宮を抱える山崎の背中を押す 職員室からは依然としてなにかを叩くような音が響き渡り、それにつられるように一体また一体と廊下の曲がり角からゾンビが現れる 花宮たちは階段に差し掛かっているものの、ゾンビはこちらに狙いを定めて先ほどの化学室を通りすぎかけている 手負いの花宮が階段を降りきる前にゾンビが追い付くのは目に見えていた 「っおい!名無しの...!」 山崎と古橋に引き摺られるように階段に向かう花宮が焦ったように振り替える 「大丈夫!すぐ行くから!」 花子は強ばる頬をニッと吊り上げ笑顔を見せる ゾンビは職員室の前扉まで差し掛かっていた 「バァカ...!...ッ頭だ!脳天ぶち抜け!!」 こちらを気遣うように見る古橋とこちらの意図を汲み、半ば叫ぶように告げる眼を光らせた花宮が階段に消えるのを確認し、剣を握りしめて前を向く 迫る異形に切っ先を突き付けて 震える息を整える 「やったろーじゃない...!」 ___ 長くなりそうなので切ります prev 34/34 back |