世界にさよならを | ナノ


赤い夕日の差しこむ教室で、
ボールが散乱する体育館で、
静まり返った校舎のうらで、
囁き、唸り、憤る声が聞こえる

なんで俺が…!あんなやつなんかに…!負けたくないっ!なんであの子なの…!好きなのに…!この怪我のせいで…っ!くそっ!どうして?死ねばいいのに!私が、俺が…僕だって!あたし俺ワタ僕オレも私ワタシ私ボクオレ
…憎らしい…才能、容姿が、力が、勝利が憎い憎い憎い恋しい悔しい痛い痛い悔しい悲しい恋しい憎い憎いニクイ憎い憎い憎い憎い憎い憎い……!!


ねぇ、「Fairy Game」って知ってる?

好きな人を書いて×××して〇〇すると叶うんだって!
嫌いな奴を書くと妖精が呪ってくれるらしいぜ
ムカツクやつの名前書くと漫画みたいに死ぬやつ知ってる?
アイツまじうぜーから呪い殺してやるわ
え、おまじないみたいなやつだよね?
マジで死んでほしい
あの子が消えればいいのに


化物が徘徊し唸りを上げ、軋むような音を立てる学校
その一室、古びた教室にパソコンが何台も並んでいる
誰も操作していないはずの1台のパソコンの電源がつき教室の中を仄かな光で照らしている
画面には周りの闇と同じ漆黒のページが浮き上がり、赤い文字で文章が更新されていく

   さあ『Fairy Game』の始まり
   これは愛憎渦巻く死のゲーム
       ルールは簡単
       死んだら負け
   楽しい楽しいゲームの始まりハジマリ
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