世界にさよならを | ナノ


side Midorima

正直、まだ状況をきちんとは把握しきれていない
俺の横でうるさく説教するように小言を言う黄瀬の言葉を聞き流しながら、横目で先ほどの女性、名無しのさんが指に俺の今日のラッキーアイテムであるまりも○こりの絆創膏を貼る姿を盗み見る

学校で練習をしていて、気がつけば見覚えのない廃校のなか
運良く宮地先輩や他の奴らとも合流出来たが、訳のわからない不気味な怪物に襲われ…
そんな中で彼女に会った
いや、助けてもらったと言ったほうがいいか

男が4人がかりでも抑えるのがやっとだったあの化物を、無謀にも一人で倒そうと突っ込んできた姿には、正直、無鉄砲なアホなのかと呆れた
だが、体育館につき赤司や他の奴らに尋問とも取れるような話し合いを受ける彼女を見ていて全く違う印象を感じた

俺達とそこまでかわらない年齢に反して年上の矜持なのか、怯える桃井や黄瀬に対して穏やかに気遣うような言葉
赤司たちとのやり取りでは愚直に、しかしどこか俺達との間には見えないけれど、決して超えられないような確かな嘘の壁を作る
この状況では誰よりも疑わしいのは確か
しかし、誰よりも"生"に固執しながらも虚勢を張り、笑顔を見せる姿が誰かと重なった

笑顔を携え飄々としながらも俺の知っている誰よりも思慮深い、いつもは鬱陶しいくらいの奴に
まったく…何処で油を売っているのだよ…

焦れるような確かな焦燥を感じながら、目線は無意識に女性から体育館の入り口に向く
未だ姿を見せぬ、鷹の目の相棒を探すように

side Midorima end

短めですが、切ります
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