アバンチュールナイト | ナノ


2

真剣な眼差しで見つめられて、自分のしたことを深く見つめ直した。嘘だと思ってしまったものの、樹の言うことが本当ならたしかに、かわいそうなことをしてしまった。

「……樹、ごめんなさい」
「いいよ。……とにかく俺は断固!付き合いたい!それはわかって欲しいなあ〜」
「樹の言うような床上手な女じゃないよ。付き合ったところでガッカリすると思うな」
「そうかな〜。そうだ、ひらめいた!今からするってのはどう?俺、なかなか評判いいんだよ〜。君が昨日の君じゃないとしても、なかなか楽しめると思うなあ〜」
「え、え、ちょっとまって!」
「堅実で真面目も良いけどさ。見て〜、ゴミ箱の中。使用済みのゴムがたくさんあるね。君は昨日から堅実で真面目じゃなくなったんだし。今やっても一緒だよ〜」
「え、ええ!わあ、マジで何個もある……」

心から落ち込む私を、樹は後ろから抱き寄せた。

「昨日は抱かれたって感じだったけど。今日は抱きたいな〜。俺もやられっぱなしじゃないってとこ、証明したいし……」
「……!!」
「消防士だって嘘ついて気に入られたくなるくらい、真夏のこと、最初からタイプだったしね」
「ひえ!?――――あ……っ、ああ、触……な……で……」
「ふふふ。感じやすいの、可愛いな〜。昨日散々やったもんね……君の気持ちいいとこ、どう触ったらいいか知ってるよ」
「ひゃ、ちょ、っ……っ……、待っ…………」

体の表面を手のひらで撫でたあと胸の先を触られる。つい声が出ると、ご機嫌な様子の樹が背面から私をぎゅーっと抱きしめて深く息を吸った。

「そしたら昨日のこと、思い出すんじゃないかな」
「……!!あ……」

首筋にキスをされて、私は思わず身をよじった。床やソファ等に散乱したお互いの服が、昨日の出来事を彷彿とさせる。
彼の話をにわかに信じられないものの、やることをやったのは本当らしい。

「(もう一度やったら、きっと昨日の私じゃないとわかって諦めてくれるだろう……。)ーーっ……、………わ、……あ、」
「ん〜……、…………」

抱きしめながら、樹の手が肌を這う。
腰回りや太腿の内側、お尻を撫でられて、ついつい流されてしまう。いろんな話を聞きすぎて、正常な感覚が麻痺してきたのか。
体を触られながら、昨日の事を思い出そうと頑張るも……進展はない。
なんてしてる間に手のこうにキスされる。爪の先までやさしく唇が触れた。

「ふー……、きれいな手だね。――さてと」
「わっ……と!」

ベッドに仰向けにされて、樹が上に覆いかぶさった。太腿にあたる彼のが熱くて、驚いて見る。

「わわっ…!?その状態になるの早くない?」
「ふふふ。だって君、裸でずっと話してたんだよ〜?やる気にもなるよ」
「……っ、んん……」

深いキスをされて、思わず目を細めた。
存外気持ちいいから、どんどん夢中になってくる。手は恋人つなぎでベッドに押さえられていて、自由にできない。

「君もやる気になってきたみたいで嬉しいな……」
「!んっ、ぁう……、ぁ……」
「ふふ、顔赤くなって…汗ばんでるよ。とってかわいいね!なんだか虐めたくなるなあ」
「わぁ、ぁっ……!」

樹の先端が局部の表面に触れる。
そのまま中には入れず擦られて、私は思わず腰を引いたが、逃げられない。
体が密着する中、キスしながらしばらくそうされると、どんどん胸が高鳴り呼吸が浅くなる。

「キス好き?」
「!好きかも……」
「かもって言ってるけど、すぐわかるよ〜。大好き……でしょ!」
「ぁ、……んん……っ!ふ……っ」

いたずらっぽく笑われて、羞恥心がくすぐられるも、確かに樹の言う通りだ。彼氏と別れてから時間が経っていて、するのが久しぶりのせいか、妙に高まるというか……。
キスしながら胸を触られて、さらに気分が上がる。

「(と言っても昨日散々したみたいなんだけど)――っん、……ぁ」
「ふふ。声我慢しなくていいのに。案外恥ずかしがり屋なんだね」
「……んん、……そ、そうかな?」
「そうだよ〜でもね、これ入れたら……声なんて我慢してらんなくなるかもね」
「!!」

樹はなんて言いつつも深い口づけをしてきて、ついこの先を期待してしまう。
舌と舌が触れ合うだけでなく、体のいろんなところが触れ合っている。その全てが興奮を煽って、体が熱くなった。

やがて体を這っていた樹の手が下半身へ向かう。局部を指でなぞって、私の目を見ると笑顔を向けた。言葉にしなくても目でわかる。

「ふふ。ほとんどキスだけで君だってこうだ。人のこと言えないねっ」
「(う!反論できない…!)ぁ…」

指がゆっくり、差し込まれて音が鳴る。キスしながら、スローなテンポでゆっくりなかを押されて、何度も……そのうちについ体が反応してしまう。

「(樹、上手いぞ…!?)……っ」
「あはは…声、出さないように耐えてるねえ。どこまで我慢できるかな〜?」

耳にキスされ、舐められながら、樹の指の腹が良い場所を触り続ける。腰がびくっと動いてしまうのがバレるからより体が熱くなる。私は覆いかぶさる彼の体につい抱きつきながら、声を我慢するのが難しくなってきた。

「ゃ……っ、ぁん……、ぁ……!」
「声も可愛い。好き」
「っ……!!(囁かれると!耳まで感じるかんじ!)」
「ふふ、感じてるね。好きって言われたから?あー真夏もさ、俺のこと好きになってきたんじゃないの?」
「……あ、や……、キスやだ…!」

耳にキスされるとぞわぞわして、余計感じるようで困る!しかし、やだと言っても樹はやめない!表面を肉厚の舌が這って、吸われる感じ……今までやられたことない!ーーそんなだからどんどん余裕がなくなってくる、もうずっとガクガク腰が震えて、それから、

「んっ!ぁっ…ぁん…!だめ、だめ……!!」
「ちっともだめじゃなさそう。ふふ、ここはもう出来上がりって感じ」
「〜〜っあ……!」
「あれれ?指抜かれちゃ〜寂しそうだねえ」

思わずいきそうだった!はあはあ、大きく呼吸をする私をニヤニヤ見つめて、樹は楽しげだ。
彼は自分ので入り口をつつく。さも、これが欲しいんだろと言わんばかりの雰囲気だ。
熱いそれに何度も擦られて、こちらは妙にドキドキする!

「あ…そんな腰動かしたら〜、入りそう……だよ?欲しがっててやらしいね〜」
「!わ……っ、違……」
「違うとは。なんだろう〜?あはは。入っても大丈夫。ゴムつけてるしね」
「いつのまに!…………ーーっ!あ、あっ、樹、入れ……!」
「ふふ。ちょっと入ったね。……そりゃ俺は奥まで入れたくなるよねえ」
「!!〜〜……ぁ、あぁ……っ!!ひゃ……っお、大き……!」

どんどん奥まで入れられて、根本まで!
会話の流れでいきなりにくるから、体がびっくりしてしまった。なかを思い切り広げられる感覚が、体全体をとても気持ち良くしていって……!!

「ふふふ、なんだか凄く気持ち良さそうだね。腰が動いてる、やらしいな〜?」
「ん……ぁ、ぁっ、動くのは待って……!」
「はいはい。おおせのままに」

気持ち良すぎて、動くのを待ってと言ったものの。抜き差しはなくとも奥にぐいぐい寄せてきて、さらにキスをしながらだ。なかの圧迫感がすごいーー、その質量と熱さが動かずとも快感を呼ぶ。入っているだけで、大変な気分だ。局部の熱さから意識が逸らせず、興奮が覚めない!

「うう、だめ……っゃ……」
「あ……、だめ?泣いちゃってる、嫌だった?」
「嫌っていうか、」

なかがぐっと狭まるのが自分でわかる。

「い、いく…………!我慢でき……」
「!……、わあぎゅっと抱きつかれちゃ……」
「な……、……っ!!うぅ、あぁ……、ん……っ!――っ」

イってしまって、体が痙攣する!
乱れた呼吸を隠したいが、それどころじゃない。感じまいと気を逸らしたかったが、全然我慢できなかった!何度もなかを締め付けるたび、熱く膨張した樹のを感じるハメになる。私はこの状況に驚いて、まいってしまう。

「(ああ、どうしたんだろう!私……!?こ、こんな、すぐ……!)」
「真夏。俺、入れただけで動いてないよ〜?」
「わ、笑われると恥ずかしいんだけど……!」
「あはは。可愛いし、あざといね〜。じゃあそろそろ良いかな?」
「!!あっ、動くのは待って、イったばっかだから……、ぁっ……、」
「……あー、良い……」
「話、聞いて……っこら……」
「だって俺、結構待ったし!もう待つの、無理だよ!」
「……!ひゃ……っあ、あの……!!」

ガンガン抜き差しされて、みだらな音が鳴るから恥ずかしい。体と体がぶつかる音も激しくてすごいーーそしてイったばかりのなかをぐちゃぐちゃにされるせいで、逃げ出したいまでの快感が来て……困る!

「ゃっ、ぁ……っ!樹、樹……っ!!」
「えへ……。そんなに気持ちいいんだ?嬉しいな〜。何度も名前呼ばれるとさ、俺も興奮してきちゃう」
「あ……、あぁ、……っはぁ、はぁ……」
「口開きっぱなしだね」
「!んぅ……、……っ!んっ!!」

口付けられながら、ガンガン腰を打ち付けられて、本気で涙が出る。舌と舌が触れ合う、求め合う雰囲気は深く愛し合っている二人のようなそれで、ーー言葉にできない快感があった。

「んぁ、あっ、ゃあ……っ〜〜!」
「はぁ、スゴい……真夏、君感じすぎじゃない、締めつけ〜……て、うぅ……っいきそう」
「…………っ!ふ……っぁ、……あ……」
「あ……真夏、またイきそうなんじゃない?なか……あ……良い……」

耐えられなくなって樹にぎゅっと抱きついた。強く抱きしめる事で感じるのを紛らわせたいが、そうもいかない……。奥までズンと入れられて、自分の腰が勝手に動くのがわかる。
今までこれほど簡単にイかされたことがあっただろうか、一瞬そんなことを考えては消えた。

「ゃ……、イく……!イく……っ、樹」
「!うわ、……っあ、……っ君、俺のが欲しくてたまらないのかな?なか、そんなされると出しちゃうけど……っあ……」
「……ひゃ……あっ!……あぁ……っぅ……んん!!」
「く、……ーーあ、うわ、……うぅ。俺をイかせる気、だねーーっ……!!」

奥、深く入れられて、私の体がベッドに沈み込む。私がイったのに触発されて、中で樹のがドクドクと動いているようだ!

「……ん、ぁ……あ……!!はぁ、真夏、」
「〜〜〜〜っ!うう、気持ちいいのなくならない……!」
「あ〜、それ、俺も思ってる。……っん、はぁ……っ、あ……すごい出た……昨日あんなにしたのに……」

熱を持った体が、涼しさを欲してる。
汗が額を流れてわずらわしい。
樹は出たと言ったわりにゆさゆさ体を揺すってきて、熱烈なキスをしてきた。

「ぷは、樹、イッたんじゃ、」
「イッたけど。イッたあと動くの、好きだからさ!」
「あ……っ、ん……っ」
「ふう……あ……もう一回いい?またしたい……」
「!!あ、あぁ……っ!」

こちらの体を持つ樹の手が熱く、汗ばんでいる。口づけの合間見ると、向こうの顔も赤くなって、快感に沈んでいるのがわかるような眼差しだ。
ぐぐっと奥に性器を押し込んでくるさまに、相手の快感が伝染するような感覚があって私は身動ぎした。
最初はゆっくり、やがて激しく腰を振られて、こっちは涙の溜まった目で、されるがままだ。
首筋にキスされて、耳にまた唇が触れる。
こっちが感じて声が出ると興奮するのか、腰を動かすのが早まる……!すると気持ち良さが体の全てを満たして……。

「はぁ……、…………、…………っ」
「(樹、夢中って、感じ……!い、いくのかな!?)」
「ーー、イく……………、、、」

奥でまたドクドク出されて、私もまたイってしまった。

乱れた息が徐々に整ってくる。汗で張り付いた樹の前髪を見て、セクシーに思った。
彼も相当よかったのか、顔を赤くして、こちらを見つめている。どちらともなくキスをした。
目を瞑ってしばらくすると、ようやく落ち着いてくる……。向こうも同じような感じで、やっと体を起こした。

「あぁ、すごい、熱……、……ねえ真夏、俺たち体の相性いいって思わない?」
「それは……」

めちゃくちゃ思う!が……。
言葉に詰まった私を見下ろす樹はちょっと悪そうに口角をあげた。

「答えなくても顔見りゃわかるよ。……はぁ〜すごく気持ちよかったね!………じゃあ今日から、よろしくね!」
「よろしくって……、もしかしてまだ付き合いたいって思ってるってこと?」
「ふふ〜、当たり前じゃん!え……この後に及んで付き合わないとかある?」
「……まあ……」
「ほら〜!今からさ、お互い色々、知っていこうね!」

思ってもみない展開で彼氏ができて、私は先行きに不安を覚えた。目の前の樹は心底喜ばしいようだが……。私は疲れで頭がぼうっとする、ため息も出る。一呼吸置いて、疑問をぶつけてみた。

「そもそも、昨日の私と違ったと思うんだけど……。それはどうなの?」
「そりゃ〜違ったけど。なんの問題もないね。まあ君が覚えてないのはもう本当に残念だけど。まあ実際は……」
「実際は?」
「……あ。なんでもない」
「ん!?」

どういうこと!?と詰め寄ってもにっこり笑うのみだ。樹の100点満点の笑顔には隙がないけれど、そこに何らかの嘘の匂いを感じ取った。
詰め寄る私をひらりとかわしてベッドを出ると、樹は

「ふふふ。不束者ですがよろしくね〜」

とヘラヘラ笑って、先にシャワーを浴びに行った。一緒に入りたい、入ってきてねと言われたけれど、私はなんだか釈然としなくて、頭を抱えたのだった。

「まあ顔が好きだし、ひとまず、いいか……」

堅実で真面目な24歳。
私は昨日と今日で柔軟さを覚えた。
シャワーの音を聞きながら、これからのことで頭がいっぱいだ。こうして樹と色々あるうちに……元彼と別れてからずっとあった、心に重しがのったような鬱屈感を忘れていくのだった。

おわり


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