オトナカワイイ | ナノ


その後1


●後日



「よし!そろそろキスでもしますか!」
「えっ!?き、キス……は、まだ早いですよ!」

いつものようにデートの帰り、若先生の家に来ていた。今日も応接間でオレンジジュースを出してもらって、しばしのご歓談タイムだ。若先生はこの時間を利用して来たる発表会に向けてパペットやら絵本やらをカバンに準備していた。
手持ち無沙汰な私はせっかくなので兼ねてからの提案を切り出してみたが、思い切り断られてしまった。

「早いかな?」
「早いです。キス、なんて、羽美さんとしたら、俺、……ダメです、想像だけでドキドキしてしまって……それにこんなの……いきなりすぎです」
「でも。私たち付き合ってるんですから、キスよりもっと凄いことが控えているんですよ?だからほら、しましょう!」
「へっ!?無理です、無理、むりなんで〜っ近寄らないでください、わ、わわっ!」

そばに寄ってみるもこれまた両肩を持たれ近づかないようにガードされてしまった!

「大事にしたいんです!だから!」
「……はあ、そうですか。ま!私たちは私たちのペースがありますもんね!」
「はい……わかってもらえて嬉しいです!」
「ほっぺで我慢します!」
「え!?わかってないですね!?」

一歩も引かない私に若先生は目をキョロキョロさせる。だけども彼の性格上一生仲が進展しない気がして私は気を揉んでいたのだ。今日こそ前進させる、密かにそんな野望を抱えたデートだった。
私の不動の姿勢に観念したのか、若先生は随分控えめなボリュームで肯定の返事をくれる。

「……わかりました、し、しますから。目を瞑ってください」
「わくわく!」
「それ。ちゅっ」

と、感触に違和感を覚えて目を開けると、若先生の手に嵌めているパペットのうさぎちゃんが私の頬にキスをしていた。

「これで我慢してください!というか、しないうと、ダメです!」
「ええ……!話が違います!」
「可愛く拗ねてもこればかりは。……決心つくまで待ってください……。今そんなことしたら」
「したら?」
「キスだけじゃ済みません……、多分」
「!」
「わっ!ちょ、ちょっと、照れないでください、俺まで照れる……。したくないわけじゃないってこと、わかってくれましたか?」

照れ笑いを浮かべた私を見て若先生は頬を染めた。(私より照れている……。)しかしながらやはり納得がいかない、そこで多少卑怯な手段を取ることにした。

「先生、一つ提案があります!耳貸してください!」
「えっと。はい、なんですか?……!!」

耳元に近寄る、と見せかけて!
ちゅっと、どさくさに頬にキスをした!

「っちょ……!?」
「ふふふ。先生、可愛い!目が丸い!」
「…………、羽美さん、こら……」

若先生の呼吸が乱れたと思ったら、目が泳いで下を向いてしまった。私がキスしたところを手で押さえて俯くから、慌てる。

「お、怒った!?そんなに嫌でしたか?キス……」
「嫌じゃない。です。けど。……ばか……」
「ばか……?」
「……ドキドキして……ああ〜……もう、我慢できません!」
「うわ!」

ぎゅううっと抱きしめられた!
で、離されたと思ったら、目の前に若先生の顔が!

「わお……!?」
「あの、お、俺、……っ誘われてますか?」
「へ?えっと、あはは、はい、キス、誘ってます!」
「っ……、……じゃあ、じゃあ……目。瞑ってください。開けないで」
「開けません開けません!」
「本当かなあ……」

ぼやく若先生はそれこそのぼせたって顔だ。染まった頬と潤んだ瞳が、目を閉じる合間に見えた。
彼がゴクリと喉を鳴らしたと思ったら、唇を舐められた、そして軽いキスをされる。
肩を上下させるほど、目立つ彼の呼吸。緊張と、……興奮?
唇が離れて、目を開けた私と見つめあったら、もう一度浅いキスを……いや、徐々に深まり何度も。

「……んっ、んんぅ……!んっ……っ!」
「ん〜……っぷは。はぁ、えへ……いっぱいしちゃいましたね。ん……でもすみません、まだ……足りません」
「わあ!んっ!ふ……」

とんとん、と叩いた肩に気がつかないのか、こちらを押し倒さんばかりの迫りに肘が床につく。激しくはないがなかなか離してくれない……、そうこうしているうちに完全に寝かされてしまった!

「んむむ……っぷぁ、はぁっ、若先生、そろそろ私は満足、かも!」
「えっ!い、いいえやめませんよ。だって……俺言いましたもん。キスだけじゃ済まないって」
「わ、わわっ!……っ」

口づけの控えめな音が、ちゅ、と鳴ったり止んだり、れろりと唇を舐められてはおおわれた。時折漏れるお互いの僅かな甘い声が、ゆっくりじっくりムードを作る……。
それから、若先生の胸に当てた両手から激しい鼓動が伝わってくる。

「んんっ、はぁ。……永遠にできそうです……」
「っ先生、すごくドキドキしてますね」
「は、はい……だって、だって、……これから……あ、あなたを、あなたを……」
「私を?」
「……お、襲っちゃいます、ので。……いいですか?」
「だめ……」

と言ったらどうするのか?そんな興味で口をついて否定の言葉が出た。彼は目を丸くしたと思ったら、今度は泣きだしそうに潤む。

「や……どうして、そんな……お、俺……、俺、えっと、本当に、駄目なんですか?」
「だってまだ早いって言ったのは先生の方ですよ!」
「そ、そりゃ、言いましたけど、でも。でも……ぅう〜、……もう、俺、し、したい……したいです、」
「…………」
「羽美さん?」
「えへ……」

若先生の笑い方がうつったみたいだ。にやける口元を隠すため手の甲を顔にぴとりと当てる。

「何笑ってるんですか。俺、本気なのに」
「ふふふすみません、ほんとダメじゃないんです!良いんです。ちょっとからかってしまいました」
「……!ヒドイ……!」
「ごめんなさい、でも先生が困ってるの、可愛くて」
「なっ。可愛くなんてないです、俺、男ですよ」
「男なのは知ってますけど、でも」
「……もう。……やだ……です、はあ……」
「わわっ、今度こそ怒りましたか?」
「怒りました。でも……、許してあげます。俺をいじめて楽しそうな羽美さんは、とっても可愛いので」
「……え」
「可愛いと言われたお返しです、はい……」

まともに目を見て言ったのがよほど恥ずかしいのか、視線を逸らした若先生の頬がまた少し赤まる。それがまた可愛らしく見えて、自然に頬が緩んだ。

「先生、やっぱり可愛い……」
「う。……羽美さんは変な子さんですね」
「(先生よりはマシですよ、多分)」
「じゃあ。……俺の部屋行きましょう」
「はい!」

元気よく返事したもののいざとなったら照れが出る私だったが見上げた先の若先生は私よりずっと照れている。ひょいと体を起こされ、手を繋がれた。そして応接間から階段を登って二階へ。先生の部屋に行くのは初めてだ!

「ここが俺の部屋です。……すみませんまさか部屋に来てもらうことになるとは思っていなくて、散らかってます」
「(え……おかしい私の部屋の綺麗な時より整理整頓されてるけども……)」

しっかりした作りのどっしりとした木のベッドと机はきっと親から用意されたものだろう。昔ながらの良い家具だ。まくらもとには大きめの抱き枕が置いてあった、これはふつうにロフトで買ったものだ。(売っているのを見たことある)
それから絨毯。これまた立派で応接間とバージョン違いのものだ。
学生の頃から使っていたと見える木の机の上には何やら医療関係の本が雑然と置いてあり、それからぬいぐるみも何体か。これは前に聞いたことがある。病院に来る子供たちに貰ったものだ。

手を引かれたままベッドに座らされて、向き合った若先生にキスをされた。私の肩を持つ彼の手は震えている。ちゅ、と音を立てて唇が離れると、先生は至極困った顔をしていた。

「……すう、はあ……だめだ、ものすごく緊張します。入った時につけちゃいましたけど、やっぱり電気を消してもいいですか?」
「(聞かれるとダメって言いたくなるなあ)はい、どうぞ」
「えっと。待っててください」

パチリ、音とともに部屋の照明が落ちる。
真っ暗かと思いきや、窓から月明かりが入ってきてそれなりに見えた。

「意外によく見えちゃいますね。……羽美さん、すでにじーっとこっち、見てきてますけれど、あんまり俺のこと見ちゃダメですよ。いいですね?」
「……」
「や。約束してください、羽美さん!」

それはできない!と答えるのを抑えてだんまりを決め込んだら若先生はわかりやすくむうっとした。

「……。見たぶん見ますよ」
「じゃあ私が先生をひとつも見なきゃ、先生も私を見ないということですか?」
「!えっ……。えっと。俺はいいんです。じゃないと何もできません」
「それは〜!ずるい気がするんですけれど!」
「そ、そうですか?そうかな……でも」
「平等にしましょうよ!ね?」
「ん〜、もう、はあ。羽美さんは、口が回りすぎる……絶対勝てません。から……」
「わぅ」

おずおずと控えめに近づかれだと思ったら、唇を塞がれた!

「おしゃべりはもうやめましょう」
「わかっ……、むむぅ!」

返事も駄目らしい、言わせてくれなかった。
これまたおずおず舌が分入ってきて、私の舌にぺとりとひっつく。

「んっ……んん……(あ、暑いかも……!)」

ぬるりと滑る舌同士が私の胸を高鳴らせる。
感触を確かめるよう口付ける度に彼の肩が大きく動いて、そっと繋がれた両手に力を込められたり抜かれたり。感じてるぞ、とすぐにわかる仕様にこっちはこっちで

「わわ……(や、やばい分かりすぎて照れる……!)」
「っぷは。はあ、はあ……っ服、脱がしていいですか?」
「聞かなくても……していいですよ」

妙にときめきを感じてしまい照れた顔を隠したくて片腕を顔に持っていって先生の視線を遮る。

「やっぱりあなたも恥ずかしいんですね。俺もすごく恥ずかしいから、おんなじです」
「おんなじ、ですね、あはは……」

先生は私のシャツを震える指でそっとつまんで、静止した。不思議に思って顔を覗き込むと、うにゃうにゃ言ってくる。なんだなんだと聞くと。

「あの。俺、こういうの……じょ、上手じゃないです……多分。精一杯頑張りますけど、でも……がっかりさせたらすみません……」

ぽかんと口を開けた私を見て、キョドキョド目を泳がせたら、俯いてしまった。
どうも自信なさげな彼だから、体を起こして抱きついた!ぎゅううと力を入れたら、驚いた若先生が苦しい吐息を漏らす。

「あ、あのっ?」
「遠慮しないで先生の好きなようにしてください!」
「えっ!え……、お、俺の好きなようにって。羽美さん何言ってるか分かってるんですか……」
「……?」
「……で、でも……じゃあ、はい。好きにしちゃいます……嫌だったら本当にすぐ言ってくださいね」

鼓動の音が激しくて、それに伴い若先生の胸も大きく動く。肌はあまりに熱くて汗ばんでいる。……本気の緊張と興奮が分かってこちらに感染ってくるほど。
そっと仰向けに寝かされた私のシャツを若先生は震える手で捲り上げる。そうして露出した肌に彼は釘付けだ。

「わあ。すごくキレイです……。ずっと見ていたい……」

うっとりと眺められさすがに恥ずかしい。
しばらく見られた後、べたりと先生の掌が私のお腹についた。ゆっくりと上へ移動して、胸に至る。

「えへ……やわらかくって。かわいい」
「(そんな風に言われるのはもはや辱めだ……!)」
「よいしょ……んん……。よし……」

下着のホックを外されて直に触られる。

「こうやって体触ったりするの……俺があなたのトクベツって感じしてなんだか感動しちゃいます」
「……っ……あはは、特別ですよ!彼氏ですもん!」
「わあ……!嬉しくって……ふふ。羽美さんは俺を喜ばす天才ですね」

若先生がふにゃりと笑う。出会った頃よりずっと溶ける回数が多くなったと思う。気がついてないだろうけど、その笑顔が見たくって私はあれこれしちゃうのだ。

「俺、羽美さんのことすごくすごく気持ちよくしたいです。こうやって……触ると、どうでしょうか」
「!……っふふ、くすぐったい」
「え!えっと……こうとか……」
「あは……、気持ちいいかも……!」
「本当ですか?じゃ、じゃあ……」

さわさわと他者に触られてじわじわ気持ちよくなってくる。体温が上がって汗ばんできた。

「あ、あの。ここにもキスしていいですか?」
「はいはい……いいですよ!」
「えへ……では、……んぅ……ふ……」

胸の先端に口づけられ私は体をよじった。湿った舌が控えめに覆っていく感覚に露骨に反応してしまったのだ。舌を這わされたと思ったらちゅうちゅうと本当に弱弱しく吸われる。この態度がなんだかあまりに可愛くて、目をつむってキスする先生をまじまじと見てしまう。

「ぷは。はぁ……っ、羽美さん、気持ちいいですか?」
「はい、すごく……、良いです!」
「よかった。じゃあもっと……頑張ります」
「(なんだかよくわからないけどとにかく頑張る若先生を応援しなきゃ……)」

先生の頭を撫でたらびっくりした彼がこっちを見る。ばっちり目があって先生の体温が上がった。

「見ないでって言ったのに。羽美さんは。もう」
「ごめんなさい、つい……!」
「えい。……目隠し。ふふ」
「(わお……!)」

手のひらに目を隠された。可愛い可愛い言ってるが、大きな手にやっぱり男の人だなと思う。視界を奪われた私の胸を先ほど同様優しく舐める若先生だ。最初こそ余裕の私だが、徐々に汗ばんで呼吸が乱れてくる。

「あの〜。先生の顔が見たいな……!」
「はむ……んんぅ……。……やだ……」
「やだじゃなくて。若先生!」
「ふぅ……はぅ……、んん……」
「……っせんせ…………!」

私の目を隠す先生のてのひらを退けて欲しくてぺちぺち叩くも駄目だ。そうこうしているうちに良くなってきて思わず体をよじった。

「ぁ、……っん、はぁ、(ヤバイ、声が……!)」
「……あむ……」
「っ!!……ぁ……っ、ふぅ……っんぁ……(出……!)」
「ぷぁ……。えへへ、羽美さんの声、すごくやらしいです……」
「は、恥ずかしい、先生……!」
「恥ずかしいですか〜。ふふ。可愛くって俺どきどき……です」

彼の舌の先が控えめに胸に触れる。それから舌の腹で覆うようにしつつ口付けられた。背中が浮いてしまう、胸を突き出す形となったせいか先生のくすくす笑いが聞こえた。

「すごく気持ち良さそう……、俺、ちゃんとできて……ますよね。きっと」
「ぁ……、ぁっ……はぁ、出来てますよ」
「やったあ……。んぅ……んっ……」
「!……っ……あ…………!」

よじった体をまさぐられる。先生の手のひらは脇腹から内腿をゆっくりさすった。

「うーん……すべすべです……」
「〜〜っ!」
「……あ。ふふっ……ここもしないと。ですね」

目隠しを外されたと思ったら先生が床に膝をついた。長方形のベッドを垂直に横切る形で寝かされている私の膝の合間に体をおさめる。そっとズボンを下ろして……少しの間の後下着まで脱がされた。

「!!っあ……ぁう……」
「ん……、触るところどこもあったかい……です」

太ももに唇が触れたと思ったら局部へ流れる!胸と同様に最初は舐めて、次にゆっくりキスされる。控えめな強さでんくんくと吸われてもどかしい。しかしずっとされるうちに明らかな快感に変わって、私はたびたび腰をびくんと反応させてしまう。
やがて彼の中指が入り口をなぞって、これまた控えめなスピードで一本なかに入り込んだ。指の付け根まで入れたと思ったら半分ほどの距離まで抜いて、指の腹で内壁を指圧する。やはりゆっくりしたスピードに物足りなくなって腰を動かしてしまう。若先生は指をもう一本入れ込んで、さっきより多少強くなかを刺激する。丁寧に丁寧にされてだんだん悪い気になってきた。

「ふぅ、はぁ……っあの、先生、そこ舐めるのは……あんまり」
「えっ。でも。すごく気持ち良さそうに見えますよ」
「あぁ……そりゃもちろん良いんですが、お風呂も今日入ってないのに……、悪いっていうか」
「そんなことなら気にしなくていいです。んん……ふ……えい……」
「ちょ、ちょっと待って……そ、そんなに……されちゃ!そこまでは、その……」
「大丈夫です。だって好きだから……俺、なんでもできますよ」
「!」

さっきより熱烈にキスされて私は体がガクッと跳ねた!なかが痙攣するのがわかる、先生の中指〜薬指をぎちっと締め付けた。

「ぁ……っ、ぁあ……先生、もう良いです、もう……はやく……!」
「……ぷは。はやく、ですか〜。ふふ……」
「……ぁ……っはぁ、ぅ……ん、ああ……」
「んぅ」

こしこし壁を擦られて変な声が出る!先生は身悶える私をたっぷり堪能してこちらを見たら、いたずらをしてしまった少年のようににっこり笑った。

「やめるの嫌になっちゃって、つい」
「(つい、じゃないぞ……!)」

いそいそと改めてベッドの上に膝をつけると覆いかぶさって、私のほっぺにキスをした。

「肌……ピンク色で思わずキスしてしまいました」
「(先生も結構ピンクって感じだけれど)」
「えい。かぷっ……。肩もピンクです」
「あわ……はぁ、あはは、先生キス好きですね!」
「はむむ……はい、羽美さんにするの好きです」
「!おっとっと……、わお……」
「ん〜……っぷぁ。ふふ、こんなかわいい人を俺がひとりじめしてるなんて……嘘みたいです」

私もよもやこんなこと言われるとは!
なんて返事すればいいのかまったくわからなくてただただ笑っておくことにした!私が笑うと若先生はつられてより笑ってくれるのでコスパもいい切り返しだ。ーーと、ここではっとした先生が視線を机に流した。

「あ……。あれをもってこないと……」

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