ジム | ナノ


AFTER5 布団を被って a


「どうしたんだ寧々さん。布団にくるまって」
「ほっといてください……」
「俺があなたを放っておけないのがわかってそう言ってるのか」
「……。もうこの世の終わりだ……」
「(これは重症だな)」

休日、いつも通り遊びに来た昴が居間でくつろいでいた。
寧々は書斎で仕事中、これは珍しいことじゃない。何事もなく昼が過ぎ夕方になり…彼女の仕事終わりを今か今かと待っていた。
が、なかなか戻ってこないので昴が書斎に顔を出す。しかし居ない。だとしたら寝室かと、そのドアを開けて見つけたのはベッドの上でうなだれる寧々だった。

「どうしたものか……」

一瞥した昴は思案の末、布団を多少無理矢理に剥いで彼女をなだめすかす作戦に出た。
その方法とは。

「んんっ!?むむむ……!昴さん……!?」
「何だ。問題か」
「く、くるしい……」

ベッドの上で向かい合って、昴は寧々を抱き寄せた。
身動きとれないほど強くだ。寧々はジタバタ手足を動かして暴れるが、やがて大人しくなった。

「ううぅ……はぁ……」
「よしよし」
「ん……どきどきします……」
「少しは落ち着いたか」
「……はい……」

気が抜けた声だ。
寧々はくったり昴の胸に体重をかけた。

「で。何があったんだ」
「…………。仕事で……、かくかくしかじか……」
「そんなことか」

そんなことじゃ済まされない……納得いかない顔の寧々だが、昴の言葉は落ち込む彼女にとって特効薬だ。

「難しいのなら時間を置くといい。別に今やらなきゃ死ぬわけじゃなしに。いつか出来れば、それでいいだろう。あなたはいつも一生懸命すぎるんだ。」
「そうかな……」
「そうだ。たまには手を抜いたらどうだ。何事をなすにも気持ちの余裕が必要だろう」
「……はぁ……。昴さんはいつでも優しいです」
「そうでもないが」
「優しいから私はへにゃへにゃしてしまいます。困ります!」
「ふ……元気が出たな。よかった」
「出ました……はぁ…ぎゅう…」

寧々に擦り寄られて気を良くした昴が暇な片手で彼女の頭を優しく撫でた。

「もっと早く俺に甘えればよかったんだ」
「そうですか……?でも」
「でも?」
「あんまり見られたくないです。落ち込んでる姿は」
「どうして」

そっぽを向く寧々。
昴は追って顔を覗き込んだ。

「……昴さんの前ではできるだけ凄い人間になりたいんです。もっと好きになってもらえるように」

昴の目が丸くなる。
おかしなことを言う目の前の彼女の色づいた耳を摘まむと熱を持ってる。

「あぁかわいい」
「えっ?」
「寧々さんはかわいいな」
「えぇ……!?どうしてそんな話に
なったんですか」
「思ったことを言ったまでだ」
「昴さんは、もう……!」
「悪いがもっと好きになるのは無理だ。これ以上なんて想像できない、もうとんでもなくあなたが好きなんだ」
「な…………(真顔でいっつもいっつもそんなことばっかり言う…!)」

さらに照れてる寧々を見て、背中に回していた手をより強く。深く彼女を抱きしめた。

「…………あの、昴さん。私、もう大丈夫です……よ?仕事に戻……」
「そうか。でももう今日は止めにしないか。もっと俺に構ってくれないとそろそろ拗ねそうだ」
「わっ?」

片手で上布団を、空いた手で寧々の肩を持つ。そして、

ーーどさっ!!

寧々の背中がベッドについた!
ほんの少しの隙間から夕日が淡く差し込む。
だけどたっぷり被っている上布団に収まるふたりの視界は、真っ暗じゃないけれどしっかりとも見れない。

「ゆっくり焦らず、具体的に言えば俺と遊んでから……仕事には戻るほうがいい」
「あは……拗ねそうだなんて、なんだか昴さん子どもみたいですよ」
「そう笑われると恥ずかしくなってきた」
「ふふふ、昴さんも照れてますね」
「はぁ…よく喋るあなたも可愛らしいが、今はそんな気分じゃない…わかるだろう?」
「えっ…ぁう…」
「あなたが仕事を終えるのを、俺は一日待っていたんだ。何かご褒美が欲しい」
「ご褒美……?」
「そうだ。例えば、」

ーーキスしてくれないか……。
妙に切羽詰まった昴の声に、胸がドキンと高鳴った。眉を下げた寧々は、目の前の彼の頬に両手をつけて唇を合わせる。

「はい、ご褒美です」
「……足りない」
「あっ!あぅ……!」

息が止まるようなキスが苦しくて体をよじる。
だが恋人つなぎで縫いとめられた両手と、寧々の太ももあたりに跨ってのしかかっている昴の体は大きくてとても逃げられない。
こんな時、体格差を嫌でも再確認させられる。昴も唇が重なれば快楽の虜になって、不機嫌も忘れて貪った。

「ぷは、昴さんっ、」
「んー?なんだ、もっとか?わかった……」
「っ!んぅぅ……はぅ……」
「……体がアツイぞ、したくなったんだろう。わかりやすい人だ」
「だって昴さんのちゅーが、えっちすぎて」
「なんだ、おねだりか。仕方ないな」
「ぁぅ……っあ、あぁ」

ちゅぱ、ちゅぱと求めあう。
その隙に昴の手は横着にも彼女のシャツを捲り上げた。下着を外して露わになった胸に指を這わす。やらしい手つきだ。
ずっと抱き合っていたせいか多少汗をかいている肌は触り心地がいい。

「ふ……キスで感じたのか。ならもしかしてここも舐めて欲しいか」
「んっ!ぁ、えっと……昴さんの、好きにして……ほしい」
「……わかった」

どうも目の色が変わった気がする昴の、熱い舌がべったりと先端についた……と思ったら舌を尖らせてぐりぐりいじめる。
執拗にされれば寧々も耐えられなくて声が漏れる。

「ひゃぁ……あぁぅ」
「あぁ……真っ暗、だな」
「ぁ……ん、っ電気……」
「つけない。何をされるか予測できないのもたまにはいいだろう」
「えっ!あっ、昴さん、何を……っあぁ、ゃう……」
「ふ……ほら、良さそうだ」

急に胸の先に吸い付かれて、声が甘くなる。日が落ちて真っ暗な上、布団を頭からつま先までかぶらされれば昴の動きなど辛うじてしかわからない。
ぽたり、昴の額から汗が落ちた。寧々の胸の高いところから脇にそれてシャツにしみる。でもそんなの大した問題じゃないと言わんばかりに、遠慮なく舌が這う。

「ん、んん……ぷは。はぁ……虐め抜いてやりたい……ここ」
「あうぅ…(もうそうされてる気がする…!)」」
「舐めるたびにあなたのカラダが喜んでるみたいだ」

男がにやにや笑ってるのがありありとわかって、寧々はやきもきする。でも、ぢゅうう、とキツく吸い上げられて、思わず背中を反らせた。

「きゃあぁ……ん……ッ」
「っはぁ、なんて声出すんだ、寧々さん」
「うう、だって……んきゃ……ぁあ……」
「腰そんなに動かして。まだここを舐めてやってるだけなのに、こんなに興奮されてはな……我慢できなくなる」
「んっ!んんっ……はぁん……」
「寧々さん。これ……」
「……?」

手を取られて導かれた先は、張り詰めた昴のアレだ。寧々は目をぱちぱちさせて、指先を動かす。

「(布の上からでもスゴイのがわかる……!)」
「ん……っ下、慣らさないとな」
「は、はい……」
「自分で準備、できるか?」
「はい?」

手を自分の下半身に持っていかれて、やっと昴の言葉の意味がわかる。

「ええっ!?」
「そんな驚くことないだろう。俺は胸を舐めててやるから。一度イってみせてくれ」
「な、なな……!なー!」
「嫌か?」
「……う。恥ずかしいです。恥ずかしい……」
「二度も言わなくても聞こえてる。でも、……たまには」

散々待たされた昴が、さっきからずっとご褒美を欲してる。それに昴のお願いに、寧々はどうしても弱い。

「わかりました。が、頑張ります」
「あぁ。そう言ってくれると思っていた」
「(あぁ……いっつもほだされる……)」
「寧々さん?」
「……(でも、どきどきです……)」

ーくち、と秘部に指を這わせただけで水音がする。

「あ、」
「どうだ。……もしかして慣らす必要ないかもな」
「んん……っどうだろ……っん……ぁ……」
「……(どきどきするな……)」
「っんん……ぁぁ、はぁ……はぅ」
「俺がしなくても気持ちよさそうだ」
「えっ、いや……違、……ぁん、ぁぁ」
「はぁ……手伝ってやる」
「んっ!あぁ、……昴さ、……きゃ。あぅ」

胸をちゅうちゅう吸われ空いたほうは指先でなぶられ、びりびり体に快感が駆け巡る。
うっとり恍惚の表情を浮かべて昴にされるがままになっているうちに、どんどん高まってくる。
浅い呼吸が興奮を表す。昴は吸いながら舌先を這わしている。
……息をするのも忘れて、指先を遊ばせたら。

「あ、あぅ…昴さん……気持ちいよぅ……」
「ん。イくのか……?見せて……」
「で、でも、あぁ、……ッむね、が、……はぁう……」
「んっ……んん……」
「っん!ゃ……あぁう……ーー!!」

びくん!
盛大に体を反らせる!
ーーちゅぱ、と音を立ててやっと胸の先から昴の唇が離れた。
肩で息する寧々の汗ばんだ髪を撫でてキスをする。

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