アナウンサー | ナノ




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とある深夜番組の司会に選ばれた新人アナ藍はかなり張り切っていた。局の若手アナウンサーとゲストと旅する番組だ。

「森山先輩、よろしくお願いします!めざせ"モヤモヤ夏'S"ですよ!」
「そういうんじゃないです」


*private announce





「見てくださいこのウニ…」
番組は滞りなく進んでいた。とある避暑地のお祭りのロケだ。三人は昼前から地元商店街を回り、今は夕飯にと有名な寿司屋に来ていた。初回と言うことでゲストはこれまた同じ局の若手アナ…というゆるゆりっぷりだった。

「いやーこれマジうまいっすね、ヤバいっすわ。どれくらいうまいって言うとかなりヤバい部類にはいると思いまっす。だって俺ウニとかもうそれだけでヤバいっていうか」

―とゲストアナの窪塚がウニへのコメントをする。
それに負けじとレギュラーアナの森山も応戦した。

「ええ…煌めく宝石のような素晴らしい光沢のある見た目でしてまるで海にいる気分になります、またそのお味が格別です。とてもお上品で特別な仕上がりとなっていますよ、僕こんなウニはじめて食べましたよ大将!」
『せやろ』
「(二人ともすごい私も頑張らないと!)…そしてこちらが大将自慢のスイーツです!なんて美味しそうなプリンでしょうか、いただきます!」

――しゃりっ

「……?とても歯応えがあって昔ながらの味を思い出させます!ですがこれ今まであるプリンとは違いますね!」
『ウニが入っているんだよ』
「えぇ!本当ですか!?」
「まじっすか」
「全く解りませんでした」
『(本当は番組スタッフが用意した媚薬が入っているんだがな)』




店を後にする三人だが藍は何故か憂鬱とした顔だった。さっきから何だか体がおかしいのだ。
どうにも目の焦点が合わず、まっすぐ前に歩けない。

「何か俺やばいっす」
「窪塚さんもですか?」
「情けないですねあなた方は」
「森山先輩が一番やばくないっすか、ふらっふらじゃないですかぁ」

斜めに歩いてしまっている三人をよそに、次のロケ地についた。
「ホテルえくすとりーむは若い層を中心に大人気のホテルで…えぇと…くりすますしーずんが特に人が来るそうです……」
「森山先輩大丈夫っすか?呂律が回ってないっすよ」
「君の日本語よりはだいじょぶ……だと…思いますけど、ね、――そのホテルに今日は三人でとまってみたいと思います―…」
「休憩だけも可能だそうですよ。そのお値段は少し高級ですがその値段以上のサービスを受けられると評判です!私も楽しみになって参りました〜」
「これが入り口だそうです〜、こんにちはー」
『お待ちしておりました、お部屋にご案内いたします』

中居さんが案内したのはスイートルームだった。ひろめのベッドルームに露天風呂、夜景が楽しめる場所だった。
「えー今時刻は深夜一時…この大きな窓から、ほら、見てくださいすかいつりー、が…見えます…」
「素敵ですね!」
「うわぁ半端ないっすね」
「ふんいきがすばらしいですー…」

そう言いながらキングサイズのベッドに倒れ混む森山。まるで酔っぱらった見たいに顔が赤くて呼吸が乱れていた。


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