早速だが、完璧な少女。並盛りの女神。などなど町民に様々な好印象を持たれている少女、沢田綱吉。彼女には誰にも知られてはいけない秘密が2つほどある。
実は悪の組織と戦う魔女っ子でした。とか、とある薬を飲んで体が縮んだ大人。とか、そういうものでは断じてない。
1つ目は、彼女か自主的に隠している、イタリアンマフィアのNo.1。ボンゴレファミリーの10代目ボスであること。
平穏を望む彼女にとって、その認めたくはないが認めるしかない事実を周囲に教えることは決してあってはならないことだ。
そして2つ目。
これについては、彼女は全く納得していない。
何故ならば。
バタンッ
「きょ・う・や・さーん!」
「煩い」
ドアを開けた瞬間飛んできたトンファーを軽くしゃがみこむことで避けると、目の前にいる麗しき人がいる高校生が使うとも思えないソファーへと近づく。
「もうっ!トンファー投げるなんて酷いですよぉ」
「ならここに来なければいいんじゃないの」
「うっ、嘘ですよ!私、恭弥さんのそういうドSなところも大好きですから!」
雲雀恭弥。
並盛高校の風紀委員長。並盛の秩序。最強の不良。
呼ばれ方は多々あるが、誰も必要時以外は口に出さないほど恐れられている人物。
そんな男に彼女、沢田綱吉は惚れていた。
2つ目の秘密はそれである。
しかし、好きだから隠しているのではない。
彼女の周囲にいる人間がこのことを隠していたい理由は彼女の行動にあった。
「あ、お仕事終わりました?」
「うん」
雲雀の返事に綱吉は輝かしい笑顔を浮かべて
「きゃー!!恭弥さん、大好きです!愛してる!もう離さないんだからー!!」
抱きついた。
これぞ、彼女自身は全く理解していない最大級の秘密。
綱吉の良い印象にキズをいれてしまうこともありえるこれこそが、最も隠さなくてはならない秘密であった。
普通ならトンファーで殴るなりする雲雀ではあるが、相手が綱吉となれば話は別だ。ただ、されるがままになっている。
それが、無自覚からくる享受なのか、はたまた諦めているのかは、本人含め誰も知らない。
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