「あ、あのっ!」

「え?」





「取材許可を下さい!」



1つ年下の女の子。同学年も先輩も後輩も。
男女関係無く、皆彼女が好きだ。


誰にでも優しく、可愛くて、勉強もできて、運動もできる。まさに完璧な少女。

しかし、容姿や生まれ持った能力だけのなのではない。
彼女はまさしく温厚篤実で清廉潔白だ。

明鏡止水という言葉は彼女のためにあるものだと思う。





そして、そんな彼女はその人気から1年生にして異例の生徒会長就任。


これほど新聞部に所属していて良かったと思うことはない。
彼女の取材が企画案として提案されたとき、千載一遇のチャンスだと確信したのだ。



彼女はモテる。それはもう、この恋愛ごとに興味のなかった自分が捕らわれるぐらいだ。彼女の魅力は計り知れない。


しかし、知っている。自分だけではない。皆が知っていた。

誰にでも優しい彼女にも、優先順位があるのだと。誰もが知っていた。
そして、片言隻語ぐらいでは、その中に入れないのだと。彼女か言っていたわけではない。彼女の周りにいる連中の態度がそう語っていた。


だから、この取材がキッカケになるだろうと思っていた。
取材して、喋って、仲良くなって。そしていつかはと夢をみた。



それが、無駄なことだとは思いもせずに。
幸せな未来を疑いもしなかった。






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