笑顔



続きと言うわけでも無いけどコレに出てくる2人です

今日は久々にケンとデート。
といっても、街ふらついてご飯食べるっていう友人でもするような行動パターンだが。

それでも嬉しい俺は、末期だと思う。




「おまたせー」

「おまたせーって…もう15分も経ってるんすけど」

「あれ?…あーあれだ」

堂々と遅刻してきた奴に怒ったり…は絶対しない。
こいつのマイペースなとこは知ってるから。
むしろこんなマイペースなとこ含めて好きだから。

「家に来てた猫見てたんだ」

「……」

まあマイペースすぎるのはどうかと思うが。




でーとは15分遅れだが、時間はたくさんあるので気にしない。
ここの近くにでかいショッピングモールがあるからそこに行くことになった。
だから俺らは歩く。

それにしてもだ。
イケメンのこいつの横に並ぶと、どうしても緊張する。

片想いみたいだって?
違う違う。

もう視線がすごい。
隣にいるやつにラブを送る女の子の。
張本人は気にしていない(むしろ気付いてない?)のでそれはそれでいいのだが。

俺なんかといていいのかなーって思うけど、でもやっぱり隣は俺のポジション。

誰にも譲りたくない。




「ねー、あれ食いたい」

ショッピングモールついてまず1階ぶらぶら。
特に目当ての物無くてぼーっとしてたら、急に服をちょいちょいと引っ張られた。

横見たら、指差してたから何見てんのかなーってそっち見たらアイスクリーム屋さん。

「うーん、まだ昼食べてないし後にしね?」

「んーじゃ、そする」

すんなりと納得してくれた模様。
アイスは好きだけど、やっぱ昼食べてからの方が旨いし。

そういえば、さっき服掴んできたの可愛かったなー。
身長なんてほとんど変わんないけど、口調とか目とか見たら動物みたいでめっちゃ癒し。
でも何故か主導権はあっち持ち。
俺って弱い。


「いらっしゃいませーお2人様ですかー?」

ぶらぶら歩いてたけど、腹も減っては買い物もできぬ、という訳でイタリアンの店へ。

イタリアンといってもそこまで堅苦しくない店。
何でもここのパスタがおいしいと有名だとか。

アンチョビのピザ1枚とパスタをそれぞれで頼む。
俺があさりのパスタで、ケンが鮭のクリームソースのパスタ。

旨い旨いって言いながら頬張ってると、ケンがじーっとこっち見てきた。
口についちゃってたか?どうした?って聞いたらこう言った。

「…1口ほしー」

あげますとも。
もう可愛くて家ならよしよししてる。
でもここは外だし、さすがにそんな真似できない。
浮きそうな腕を必死に押さえてお皿を交換。
「俺も食いたい」って言ったら、「仕方ないなー」だって。
でもにこにこ笑いながら、俺のパスタ食ってるケンは可愛くて。
何回可愛いって言ってんだろ、ってぐらい言っちゃう。
でもそれぞれ違う可愛さ。

「うまー」

「うまー」

ケンの真似してみたら少し頬膨らましてた。
やっぱ可愛い。


そのあとは買い物。
ケンは靴が欲しいんだって。
靴屋に行ったら、色んな種類並んでてケンもどーしよっかなーとか言いながらキョロキョロしてた。

ケンは見た目派手だけど、服装とか持ち物はめっちゃ落ち着いてる。
バランスやセンスが良いってこういうことなんだって納得する。

ケンに一言断ってから俺は向かいにあるアクセサリーショップに行った。
なんかおそろいとか欲しいなーとか乙女なこと考えて、ちらっとのぞく。

あーこれ良いかも。
リングのピアス。
俺もケンもピアスつけるし、派手すぎない。
1つ買って、片耳分をケンにあげよ。店員さんに1つだけその場で付けさせてもらって、1つはプレゼント用にラッピングしてもらった。

「彼女さんにプレゼントですか?」

「まあ、はあ…」

「いいですねー」

店員さんに言われて少し恥ずかしい。
俺が彼女の方だっつーの。


ケンがいる靴屋に戻ったらまだ悩んでたみたいだ。

店員さんとあーだこーだ話してる。

「決まんないの?」

「あ、ゆーや。どっちがいいと思うー?」

ハイカットの少しごつめの靴を指差していた。
黒と茶色で迷っているらしい。

「学校履いてくの?」

「うん、そのつもりー」

「学ラン黒だし、こっちの方がケンっぽい」

って言って俺は茶色を指した。

「じゃあ、そーする」

さっきまで散々しゃべってたのが嘘のようにあっさり決まって、店員さんに「こちらへどーぞー」って言われたケンがのこのこ着いていった。


次は先程ケンが言っていたアイスを食べに行くことにした。
3時頃だし良い時間だ。

たくさんの種類とカラフルな彩りを、きらきら目を輝かせてガチで選ぶ俺の彼氏。
中々男でこんなにへばりつくような人っていないと思うけど、ケンはかっこいいから店員さんは目がハートだ。

「ケンどうする?」

「えー、迷っててさー」

ケンはチョコとストロベリーとキャラメルが良いらしく、だけど2フレーバーを買うから1個だけ諦めなきゃいけない。
てかケンって意外に優柔不断。

「じゃあ、俺チョコと抹茶にするから少しあげるよ」

俺は正直、ケンが喜ぶならなんでもいい。
ケンは俺の言葉を聞いて大層喜び、ありがとうって何回も言って俺の分のお金を払ってしまう。

「自分で買うよ?」

「いーのいーの」

ゆーやのチョコ貰うし、って可愛いこと言っちゃってー。
お言葉に甘えて奢ってもらった。

店内は少し混んでるけど丁度2人席が空いてたから向かい合って座る。
周りには女の子ばっかりだけどケンは特に気にせずアイスを頬張っていた。

「うまー」

「でた、ケンの『うまー』」

「だってうまいんだから仕方ねぇよ」

まあそうなんだけど。
甘すぎず丁度良い。
そういえばケンはチョコ欲しいって言ってたな、と思ってチョコを1口分掬う。
あーんってしたらケン食べてくれるかな…


「ケン、あーん」

「あっ、あーん」

食べたー!
俺が掬ったアイスをぱくりと食べたー!
超可愛い、やべ。

ケンも満足そうだし、よかったよかった。




「帰ろっか」

「うん」

アイス食べ終わってからまたぶらぶらして、帰ることにした。

電車から見える夕焼けめっちゃ綺麗で、特に会話せず2人で沈んでく夕日を見ていた。

駅に着いて家へ向かう。
先に着くのは俺の家。
あっ、そうだ。

「ケン、これ」

「??」

掌サイズの箱を見て、首をかしげるケン。
さっき買っておいた片割れのピアス。
ゆっくり紐をほどいて、表れた俺からのプレゼントに目を真ん丸くして、俺を見た。

「え、あ…」

ごもってるケン、超やばい。

「おそろいないからさ」

そう言って、自分の耳についたピアスを見せる。

「…朝会った時、付けてなかった気がして疑問だったんだよねー」

くすりと笑うケンは俺に近づいた。

淡い柔らかなキス。
誰かに見られても気にしない。

「ありがとう」

ケンは帰っていった。







朝学校へ行くとき、いつもと違う光景。

いや、いつもと違う感情なのかもしれない。


揺れて輝く“2人だけ”の証と、とびっきりの笑顔。


俺にはもったいない素敵なシチュエーションで、「おはよー」と俺を迎えてくれる君が好き。





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