流れ星





「せーけん!せーけん!」

勉強をしていたら窓ガラスを叩く音と、自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。

俺の部屋の窓は向こうの家の窓と肩腕1本分しか離れていない。

侵入しようと思えば侵入できる窓を叩くのは、お隣に住む幼馴染みのあいつだ。

はあ…と、ため息をついてからカーテンを開く。

開いたら目の前には、あいつの満面の笑み。

「成憲(せいけん)!早くこっち来いよ!」


そう俺を呼ぶのには訳がある。
もちろん勉強だ。

小さい頃から勉強しかしてこなかった俺と、スポーツしかしてこなかったこいつ。

必然的に俺はこいつ――、亜月(あつき)に勉強を教えなくてはならない。

でもこいつの願いは何でか断れない。

「ここわかんねー、教えろ」

「お前はどこのどいつだ」

「あぎゃっ!すいません、せーけんせんせー教えてください!」

こいつの家に窓から入り、勉強タイム。

真面目なのかふざけてるのか分からないが、勉強はなるべくがんばっているみたいだ。


あれから2時間ぐらい経ったとき、ふと窓を見た。

「あ…」

「なになに?どーした?」

思わず呟いてしまった俺に、さっきまで疲れたと嘆いていた亜月が目敏く反応した。

「……あっ!流れ星」

そう、流れ星を見てつい声を出してしまったのだ。

亜月に外のベランダへと引っ張られ、2人で肩を並べた。

「なあなあ!願い事しようぜ」

「はいはい」

願い事ってそんなのただ1つだ。


“こいつとずっと一緒にいられますように”


「亜月はなににしたんだ?」

「…ききたい?」

にやにや笑う亜月を見てくすりと笑い返す。

「どっちでも」

「なんだよそれー!まあ言っちゃうもんね!」

すこし意地悪すると真っ赤な頬を膨らませる。

恋人とか好きな人とかそんなのじゃないけど、ある意味愛しい…とか、ね。

「…さっさと言えよ」

怒ったり膨れたり面白いが、そろそろ願い事を聞きたい。
どうせ、頭が良くなりたいとかだろうけど…

「もー!言うからな!

えーっと…

これからも2人一緒にいられますように、かな」

「……え?」

流れ星がまた1つ流れた。



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