滅却師と死神は…
2話:終
いわゆる、昼も夜も一秒と離れていられないような恋人達とは、自分と彼は違うのだけれど。
今だけは、情けないぐらい、彼の不在が胸に堪えている。
澱のように鬱積した不安は、もうこの数日の間ずっと、胸の奥でうごめき続けているものだ。
―――――つまるところ、バランスが悪すぎるのだ。
置かれた立場と、二人の関係との。
滅却師と死神代行という………。
重苦しい溜息が、無意識に唇を吐いて出る。
死神に弓引いた滅却師達は、尸魂界を破滅寸前にまで陥れたと聞く。
(黒崎は、どうしているのだろう……)
仲間を、死神達を護る為に、戦火へと飛び込んで行った彼は。
殺すべき仇敵となった滅却師と対峙して、何を思うのだろうか………。
急激に変化していく世界。
けれど変えられない、苛立たしくなるぐらいに中途半端な自分の位置。
いったい、どうしたら良いのか。
答えが出ないまま、自問自答を繰り返す。
好きという気持ちだけでは、どうする事も出来ない現実。
「愛してる、のに……」
音にならない呟き。
本人の前では決していえない一言を雨竜は唇に乗せ、その重みを味わうように喉の奥へと深く呑み込んだ。
《終わり》
雨竜たんは一人現世に残る決断をしたものの、その心境は複雑だろうな…と思って、その気持ちを一護への想いを織り交ぜて書きました。
雨竜たんは、この時点では、一護が滅却師の血筋をひいてるとは知りません。
2013.03.25end
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