ぼくたちは恋しあう
2話
二人掛けにしては小しばかり手狭なベンチに、ピタリと隙間なくくっついた相手の体温が伝わってくる。


服を通して、じんわりと染み入る他人の熱。


隣にあるのが当たり前の、温もり。


気恥ずかしいような、くすぐったいようなその感覚は、この一年で雨竜が知った感情だった。


ちょうど一年前の今日。


たまたま立ち寄ったこの公園で、たまたま彼と行きあって。


思いがけないその偶然が、それまでお互いが抱いていた反発心や確執を綺麗さっぱり拭い去る、きっかけとなったのだった。


憎むべき死神の力を宿した男。


何もかも、その存在自体が気に入らない。


ちょっとした事で過剰反応してしまう程、相性が最悪だったはずだ。


はずだったのだが…………。


気が付けば、誰よりも一番近い場所にいて。


誰よりも傍にいたい、と思うようになってしまった。

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