万年新婚夫婦事情
「マジかよ?」
「ザッと見積もって、それ以下では無理だね。」
「でもなぁ、10万って…」
「あのなぁ黒崎、おまえ普通は幾らするか知ってて言ってるんだろうな。」
何やら話し込んでいる一護と雨竜。
どうやら雨竜が何かの見積もりを出した事に 一護は納得行かない様子である。
「だってよぉ、あんなんにそんなに金かかるもんなのか?」
一護の言葉に思い切り溜め息を吐いて、カタログを取り出した雨竜。
「いいかい?これを見てからその台詞 もう一度言える物なら言ってみるがいいさ。」
「ゲッ!何だよこの値段、こんなんで50万もすんのかよ
え?マジでこっち180万すんのか!?」
カタログの値段に本気で驚く一護。
「いいかい、生地はサテンシルクやチュールレース。木綿は重くなるから希望が無い限り使わない。シルクタフタやオーガンジーも考えられる、しかも使う量は普通の着分の数倍かかるんだ。
シルク糸やレースも使うし、飾り付けにスワロフスキーやファイヤポリッシュ、リボンはサテンシルクかオーガンジーの共布で作るとして 材料費だけで最低10万、僕の手間賃無しでギリギリの線だ。
それで文句が有るなら既製品にしてくれと 君が遊子ちゃんを説得するんだね。」
雨竜の説明を聞き、カタログの値段を見た一護はグゥの音も出ない。
一護の視線は無意識に机の上に置かれたぬいぐるみ コンに向けられる。
もとはと言えば、原因となったのはボロボロになったコンを雨竜が直した事だった。
いつもの様に素早くぬいぐるみを綺麗に直した際、何を思ったかふわふわヒラヒラのドレスを作って着せたのだ。
あの 如何にも貴婦人のドレスと言わんばかりのヒラヒラのドレス(何故かマント付き)を着たコンを一目見た遊子がすっかりそのドレスに惚れ込んで 自分のウエディングドレスを作って欲しいと言い出したのが事の発端。
一護もつい可愛い妹の為に、ドレス代は自分が出してやると言ってしまったわけで…
(コン本人はずっとタソガレていたのだが
)
「解った、確かにカタログみたいなやつがあの値段するなら納得した。だがよぉ、雨竜の手間賃無しは悪ぃだろ
」
今度はそこに引っかかったらしい一護。
「遊子ちゃんの頼みだし、女の子にとって一世一代の晴れ舞台の衣装だからね。僕からのお祝い代わりだよ。」
うっすらと笑みを浮かべてそう言う雨竜に、一護も頬を緩める。
「しかし、遊子が結婚かぁ。俺達も年取るはずだよな。」
おおらかに笑う一護に、思わず雨竜が突っ込んだ。
「黒崎、君は既に呆け老人か!?」
「ひでぇな、じゃあおまえも同様だな。」
お互い顔を見合わせて笑い合う。
「考えてみりゃずっと一緒だったからな、何だよ 俺達 遊子と彼氏よりずっと付き合い長いのに まだ籍入れて無いじゃねぇか。
雨竜、俺達も結婚するか?」
一護の冗談めかせたプロポーズに、絶対文句をつけると思われた雨竜が笑みを浮かべて答えた。
「そうだな、そろそろいいかも知れないね。」
「本気だよな?よし、絶対大事にする!幸せにするからな
」
雨竜を引き寄せ、腕の中に閉じ込めて 満足そうにそう言った一護。
恥ずかしそうに頬を染めながら頷く雨竜。
その姿は新婚夫婦そのものだった。
「あ、雨竜。遊子のドレス マントはいらないからな。」
「君は僕を何だと思ってるんだい!?」
【終 劇】
10万hit越えおめでとうございます
せっかくリクエストいただいたのに、姫子にかかるとこんな風に
シリアスは無理でした
これからも頑張りましょうね
如月姫子
2011.13.10
波多野恵子です☆
ありがとうございました
姫子様には私がリクエストしたネタを書いてもらいました♪
プロポーズする前からすでにおしどり夫婦みたいな空気感があって、ほんわかしてステキでした(o^∀^o)