10万回の“I love you” @
「其処まで食い下がるなら仕方無い…10万回僕を口説き続ける事が出来たなら、君との事を考えて遣らん事も無いよ!」
10万回の“I love you”
大上段からの切り返しに一護は愕然と立ち尽くした。
時は放課後、場所は教室。
未だ沢山のクラスメイトが残る中で切り出した決死の告白に対する応えは、まさかの条件提示に宙に浮いた。
そんな訳で、一護の想い諸共クラスメイトの知る事となった二人の行方は…―――。
※ ※ ※ ※ ※
波乱の告白から一夜明けて迎えた初日。
「おはよう石田っ!!俺はお前が好きだ好きだ好きだ好きだ大好きだっ!!」
「数打てばどうにかなると?安易で短絡的だな。と云う訳で今の纏めて1カウント」
「Σそんなっ!?」
朝一番に喧しく教室内に入って来た一護と迎えた雨竜の遣り取りに、居合わせたクラスメイトは微妙な顔で二人を見やる。
「あんな適当な言い方で数稼ごうって云う腹で僕が納得してやるとでも?手抜きも良いとこなのを1カウント数えてやるって言ってるんだ。寧ろありがたく思え」
「―――――…はいι」
恐るべし石田雨竜っ!
全力で容赦ねぇ…っ!!
未だ「お付き合い」にすら発展していないにも係わらず一護の、見事な迄の尻に敷かれっ振りにクラス内での黒崎一護像が崩れ去る。
そんな初日の波乱も有り、日々繰り広げられる一護の砂吐く様な口説き文句とあしらう雨竜。
今日も今日とて雨竜の隙を見付けては口説き倒す一護が見受けられる教室内。
「俺、ホントお前が好きだって毎日お前の姿を見る度思うんだ。今日も綺麗で可愛くて気高くて、やっぱりお前最高だな
」
「お褒め頂きありがとう(棒読み)でも『可愛い』は男に対して失礼だとは思わないのか?」
「でもっ事実だしっ!!」
「いや、やっぱり可笑しいから。その感性」
幾ら熱意を込めて口説こうと、暖簾に腕押し糠に釘。一向に靡く様など見受けられない雨竜。
それでもへこたれない一護の図太さにクラスメイトは何だか同情を込めて味方したい気分になるのは何故だろう。
とは言え、見守るに留まるだけで関わりたいとは微塵も思いはしないのだが。
「良くやるなぁ…一護の奴もι」
ポツリと落とされた啓吾の台詞が、総てである。