――――スクアーロ
――スクアーロ
遠くの方でオレを呼ぶ声がする。
なんだよ、折角いい気持ちでこっちは眠っていると言うのに。オレは、疲れてるんだぁ…あのクソボスの所為でへとへとなんだぁ…。
「スクアーロったら!」
だいぶ意識が覚醒してきたところでオレの体にかかっていたシーツが引ったくられた。夏ど言えど、さっきまであったシーツの温もりが消え、少しだけ寒い気がした。
「起きてよ、もうお昼なんだから!」
「う"ぉ"ぉ…もうちょい寝かせろぉ…」
「もうちょいって、何分経ったと思ってるのよ!」
「ん"あ"…五分くらいかぁ?」
「あと二分で五十分よ!」
「…うるせぇぞぉ……名前も寝ろよ、」
「あっ! ちょっと、は 離してよスクアーロ!!」
オレは起こしに来ていた名前の腕を掴んで自分の横になっているベッドへと引きずり込んだ。
名前はばたばたと暴れて抵抗するがオレはそんなことはおかまい無しに、再び夢の世界へと発とうとしていた。
「ちょっ、スクアーロ!起きてるんでしょ!」
「…ん"?」
「ん"?、じゃないわよ!離してよ!」
「…離すともっと暴れるだろ?」
「あ 当たり前じゃない!起こしに来たんだから、」
オレの胸板をバシバシと叩きながら抗議をしてくる名前。
うっすらと目を開けて名前を見ると丁度オレの目と名前の目がかち合った。
「名前…」
「なによ、起きる気にでもなっ…!!」
オレの呼びかけに答える様に、首だけ上を向き顔を見上げてくる名前にオレは口付けをした。それは軽いものだったが、名前の動きを止め、黙らせるにはぴったりだった。
「―――スクアーロ、今の…」
「静かにしてろぉ……ああでもしねぇと
お前はオレを寝かせてくれねぇだろうがぁ…」
名前はオレからキスをしてくるとは思っていなかったのだろう、ぽかんとしたのちに顔を真っ赤にさせ、オレの胸に顔を寄せてきた。
ぼそぼそと名前の小さい声が聞こえて、まだ火照りの消えぬその顔で名前は言った。
「…あ、あと十分だけだからねっ」
その顔に思わず、名前をぎゅっと抱き締めた。シーツの温もりとは違う、名前の人肌の温かさがオレの傍にはあった。
その後、名前は彼の腕の中ですやすやと眠ってしまったがスクアーロはと言うと、あの真っ赤な名前の顔を思い出してなかなか眠りにつくことが出来なかったらしい。
(ドキドキして眠れねぇぞお!)
(生殺しだあ"ぁ"ーーー!!)
end
20100810
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夏休み企画15
卯魅様リク
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