オレの腕の中でもぞもぞと名前が動く。名前の顔は見えない。理由はオレが名前の後ろから抱き着いているから。
「ディーノ?」
「…ん。」
「まだ、起きてたの?」
「だってオレ…明日の朝には発たなきゃいけねぇだろ?」
明日の朝。
オレは日本へ発つことが決まっていた。だから、その間…名前には逢えない。こうして抱き着いて彼女の温もりを感じることも、ぎゅっとした時に香ってくる、彼女のにおいをかぐことも出来ない。
「そうね…でも仕方ないわよ…ボスなんだから。ね?」
「しばらく逢えなくなるんだぜ?」
「そうね…」
「名前は寂しいとか思わねぇのか?」
こんなこと、聞かなくても百も承知だけど、オレは彼女の口から聞きたかったから…
「寂しいのはディーノも一緒だと思うけど?」
「へへっ…そうだな」
「…明日は早いんでしょ? ロマーリオさんも言ってみえたけど?」
彼女の腹辺りに回されたオレの腕に名前はしっかりと自分の腕を重ねた。
「オレは…お前との残された時間を大切にしたい。」
「…何言ってるの? …別に死に行く訳じゃないんだから、」
とくんとくん…と名前の生きている音がする。それはとても、あたたかくて。安心できる音。だけど、その音は安心とともに、オレを切なくさせる。胸を締め付けるような…この、甘い痛み。
「なぁ…」
「なあに?」
「すきだ。」
「うん。」
「すきなんだ…お前のことが。」
「うん。」
「他の誰よりも…」
「…うん、」
「愛してる。」
「……」
「おい…寝ちまったのか?」
「……」
バサリとオレが起き上がれば、二人にかかっていたシーツが捲れ上がった。
すると、名前が起き上がったオレの目を見る。そして、薄暗いこの部屋の中でも分かるくらい照れた赤い顔で微笑んだ。
「…って―――る。」
「? …!!」
私だって愛してる。
end
20100805
----------
ディーノさんすき(∀`*)
::63::
×|◎|×
ページ: