暖かい陽射しの中…っていうか、ちょっと暑い陽射しの照りつける中。名前はベンチに座りながら、ぼけっとしていた。
暑い陽射しは、彼女を溶かす様に照りつけて今にも名前は蒸発する勢いだった。
「にゃー」
ふわふわの白い毛をした子猫。彼女の足下に寄って来た。
「…あれれ…どこから来たのかな?」
そっと手を伸ばして、持ち上げるとふわふわの白い子猫はすんなりと膝の上に。
「君も夏は大変だね…」
「毛布をかぶって年中生活してるんでしょ?」
頭から背中に掛けて、そのふわふわの毛並みをゆっくり、ゆっくりと撫で付ける。
「にゃー」
「…かわいいねぇ…迷い猫くん。」
(それに、何処か君に似てるよ―――アレン?)
急に思い浮かんだ愛しい人が恋しくなってその子猫を撫でる手を止めた。
「…何してるんですか、こんなところで?」
幻聴かと思った。その声は私の待ち望んでいた愛しい人。
「迷い猫と戯れてたの…おかえり、アレン。」
「…ただいま……名前。」
アレンは私をきゅっと抱き締めた。私もアレンにきゅっと抱き着いた。
「…アレン…団服がよごれてる…」
「名前に早く逢いたくて… 任務が終ってからすぐに来ちゃいました。
すみません…これじゃあ名前までよごれてしまいますね…」
アレンが申し訳なさそうに言う。だけど、私は嬉しくなってもっと抱き着いた。
「わっ!名前、よごれちゃいますよ!」
「よごれたら洗えばいいんだよ…ね?」
「…そうですね。」
私とアレンがにっこりと笑う。
「名前、大好きですよ。」
「アレン…私も大好きだよ。」
いつの間にやら、あの白い子猫は居なくなって…代わりに、あなたが私の前に現れた。
おかえり、大好きなあなた!
end
20100730
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夏休み企画7
奏様リク
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