短編ログ | ナノ
気持ちだけで走ってきた

どうしよう。このあとのこと、何も考えてなかった。
名前が風邪引いたって聞いて、居ても立ってもいられずにドラッグストア寄って名前の家の前まで来ちゃった。風邪のときって、何してあげたらいいんだ?てか、彼氏でもないのに家まで押しかけるとか、僕ってどんだけお節介な世話焼きの勘違い野郎なんだ。いいのか。風邪引いた状態の名前に、病原体みたいなこんな僕が会ってもいいのか。しかも、名前って一人暮らしだろ?あれ?もしかして、まずいんじゃない。一人暮らしの、しかも弱ってる女の子の家にゴミが上がってもいいの?
うわ、どうしよう。考えれば考えるほど、僕のここまでの行動力に疑問しか感じない。どうして僕なんかが、名前の家に上がれると思った?どうして僕なんかにあの名前が看病されていいと思ってたの僕!クソだろ。なんで感情だけで後先のこと考えずに、ここまで来ちゃったんだよ、数分前の僕!しにたい。これは、しにたい。数分前の僕を殴り飛ばしてから、僕は首をくくりたくなった。でも、このアパートのどこかの部屋の中で、名前がひとりで苦しんでると思うと、ああぁあ、やっぱり、居ても立ってもいられないし。うわ、本当に、厄介なことになったぞ。どうするんだよ、僕。

気持ちだけで走ってきた一松

結局この後、震える指先でインターフォンを押して、出てきた名前に家へ上げてもらい、一松は名前の看病を普通できました。名前が回復してから、二人で猫カフェに行く姿が見られたのはまた別の話。

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20160223

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