短編ログ | ナノ
顔が真っ赤よ、お馬鹿さん

一松、おいで。ん? 仕事終わったのかって?いいよいいよ、締め切りまだ先だし。それに休憩したいし、一松に触りたい。よしよし、いい子。一松ってさぁ、ほんとにわたしのこと好きだよね。え?自意識過剰だって?なによもう、満更でもないくせに…今さら、なに照れてるの?ほんとのことでしょ?
もちろん、一松の気持ち、すごく嬉しいよ。一松の言葉とか行動のすべてに愛を感じる…ううん、重いだなんて未だかつて思ったことないよ。だって、わたしも好きで一松と一緒にいるんだもん。なんというか、私は一松みたいに器用じゃないからさ、一点集中型だから、一松には寂しい思いとかさせているわけで…ほら、そうやってわたしのことを立ててくれるじゃん。ほんとに気遣い上手さんなんだから、一松は。
かわいいなぁ、
あ、ごめん。心の声聞こえちゃった? ふふふ、いつも尽くしてくれる一松くんに、たまには甘えてもらいたいなぁって思うわけですよ。だって、いつもわたしの仕事の都合とか考えてくれて、一松に我慢してもらってるし。ご飯だって、わたしのために作ってくれるでしょ?たまには、逆のこともしたいなぁって…
あ、そうそう。今週の日曜は泊まってってよ。え、なんでそんな驚いた顔してるの?…仕事?いいって、平気平気!それに、月曜日は有給取っちゃったので、朝から晩までずーっと一緒にいられるよ!
え、なんで泣くの?うそ、ごめんごめん。お腹いたい?あ、痛くないですか。なんか用事あった?え、ない?だって、ここんとこ仕事で忙しかったし、一松と一緒にいられなかったでしょ?電話はそれなりにしたけど、電話越しの声、一松、寂しくて死んじゃいそうだったもん。そんなことないって?…ダウト!あるでしょ?
ね?素直でよろしい。人間、素直が一番だよ?とくに、我慢強い一松くんみたいな人はね。一松って、ほんと遠慮しいなんだから。それに、わたしだって寂しいなって、一松に会いたいなって思うんだよ?…え?自分だけだと思ってた?…ないない、ありえない。ふふ。本当の一松って、私が知ってた一松より、お馬鹿さんなんだね。
あのね、一松。あなたが思ってるより、わたし、一松のこと大好きだからね。そうじゃなきゃ、家の合鍵渡さないし、第一わたしに触らせないよ。こうやって、私がぎゅってしたくなるのも一松だからだし、ぎゅってされたいのも一松だけ。それに…

こういうことをしたいなとか、されたいなって思うのも、わたしには一松だけだから。ねえ、これでちょっとは自信がついた?
顔が真っ赤よ、お馬鹿さん

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20160214

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