短編ログ | ナノ
食べ物ごっこ2

これの二人

「トド松、パーカー、かーしーて」
「十四松兄さんならいいよ。でも、何に使うの?」
二階でスマホをいじっていたところに、十四松からお願いされるトド松。十四松が弟のパーカーを悪用することは無いと思っているので、すぐにおkを出す。

「んーとねぇ、なまえとあそぶ!」
「え? 僕のパーカーで?」
「トド松もやる?」
「え。うーん…僕は見てるよ」
「そぉ?」
いそいそと、手渡された桃色のパーカーに着替える十四松。
トド松は、自分色のパーカーを着る兄を見ながら、自分のパーカーに十四松が袖を通すことと、なまえと遊ぶことがどう関係してくるのかを考えた。でも、分らないので着替え終わった兄について、一階へ行くことにした。

「ねえ、チョロ松」
「ん?」
めずらしく呼び捨てしてきたなまえに、なんだ・どうした?と思っているチョロ松。でもちょっと嬉しい。求人誌から顔を上げて、なまえを見る。

「お願いがあるんだけど…」
「なに? お前から僕にお願いなんて、めずらしいね」
なまえからのお願いなんて滅多にないことなので、ますます嬉しくなるチョロ松。

「チョロ松にしか頼めないことなの、これ」
「俺にしか頼めない?え…なに?どんなこと?」
「そ、そんな深刻なことじゃなんだけどね…チョロ松のパーカーを貸してほしいなぁって思って」
「僕のパーカー?」
頼られたことは嬉しいが、それが自分自身ではなく、自分のパーカーであることに、チョロ松は不満を感じた。

「それって、この間のサツマイモごっこと関係あるの?」
「お!鋭いね、さっすがチョロ松」
なまえはおそ松の口調を真似して言ってみた。得意になって笑うなまえの笑顔に、すっかり絆されたチョロ松は、自分のパーカーを脱いで手渡した。

「汚すなよ?」
「分かってるもん!心配性だなぁ」
自分が今まで着ていた服をチョロ松に手渡し、緑色のパーカーを身につけるなまえ。ちょうどそこへ、トド松を連れた十四松もやってきた。

「二人とも、見ててね!十四松、いっくよー!」
「んー、よいしょお!」
なまえはぴょんと十四松の背中にくっついた。なまえを背負った十四松はそのまましゃがんで、ふたりそろってチョロ松の方を見た。トド松はスマホ片手に、無言で二人を眺めている。

「おもちとー」
「葉っぱでー」
「「さくらもち!」」

「ん゛…っ」
チョロ松とトド松は口を押さえた。

「まだまだでっせ!」
「ほな、次!」
どこからか、十四松が一松の白いお友達を連れてくると、なまえがその白い子を撫で出した。しばらくすると、一松の白いお友達はにゃーんと気持ち良さそうに甘えた声で鳴くと、丸くなって眠り始めた。

「今がチャンスやで、十四松はん!」
「あいさ!」
顔を見合わせた十四松となまえは、十四松・白猫・なまえの順番で丸くなった。そしてくぐもった声で言うのだ。

「題して」
「「三食団子!!!」」

「ん゛…っ!」
和菓子になりきる二人の愛らしさに何も言えなくなったチョロ松とトド松であった。

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20160130

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