今年は雪が降らなかった。
ホワイトクリスマスは叶わなかった。
「クリスマスかぁ…」
一人の少女が、部屋の窓を開けて冬空を眺めていた。
冷たい風がヒーターであたためられた部屋の中へと吹き込んだ。
「……プレゼント…用意出来なかったなぁ…」
ほぉ、と吐く息は白くて、冬の空にもやもやと漂っては消えていった。
結露したガラスはひんやりと指先を冷やして、静かな音を立てて窓は閉められた。
「…名前、」
彼が部屋に入って見たのは、窓ガラスに手を付いたまま、その場を動こうとはしない彼女だった。
不思議に思った彼が声を掛けたが、彼女は気付いていないようだ。
「………」
「……ねぇ、」
「………」
「……（ムッ）」
彼の方は、声を掛けても気付かない彼女に機嫌を損ねたらしい。
つかつかと窓辺に突っ立っている彼女の方に近寄っていって、後ろから抱きすくめた。
「きょっ 恭弥…？」
「………」
「…ど、どうしたの？」
「………」
彼女は彼の行動に驚き、そしてようやく部屋に入ってきていた彼に気が付いた。
そして、後ろから抱きしめられていると言うことを理解すると、焦り出した。
「…恭弥？」
「……何考えてたの。」
「…ぇ？」
「さっき、何考えてたの？」
彼女の耳元から聞こえてくる彼の声に、彼女はドキッとした。
そして彼は、「言うまで離さないよ」と言い、きつく抱きしめた。
「……怒らないでね？」
「…内容による。」
「そんなぁ…」
「言って。」
言わないともっと怒るよ、と彼はさらに呟く。
彼は腕の中にすっぽりと収まっている彼女を引っ張ってぐるっと正面を向かせた。
突然の動きに彼女は顔を上げると、迫ってくる彼の顔に頬を染めて目を逸らせた。
「…プレゼント」
「プレゼント？」
「…うん。 結局用意出来なかったなぁって思って…」
「………」
彼女は黙ってしまった彼を見て、不安に思った。
そして、彼の腕の中からどうにかして脱出しようと試みるも、あっさりと抱き寄せられてしまった。
「……怒ってる？」
「…怒ってないよ、」
「…！ ごめんね、何も用意出来てなくて…でも、来年は「ねぇ、」
「――？」
僕に君をちょうだい。
彼はそう言って、彼女のくちびるにキスを落とした。
聖夜の夜に私が失くしたもの、それは―――
end
20101225
20130607 修正
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ひさびさの雲雀！
ちょっとだけえろてぃっくw
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