短編ログ | ナノ
雪が溶けたら

雪が溶けたら

昨晩から降った雪のお陰で、外は真っ白。
任務も終わって、私はホームへと帰って来た。

きっと、目の下にクマを作って私を待ってる。
きっと、温かく迎えてくれるであろう彼を思うだけで、心が弾む。

足取りは軽い。
それは、三ヶ月振りに彼と会えるから。

きっと、室長や部下達の世話でてんてこ舞いだったと思う。
街を出る前、ゴーレムで室長と連絡を取った。
やはり、彼は忙しいらしい。


(主な原因は室長が作っているのだけどね)


なんだろう。
久し振りに目にするホームが、すごく懐かしい気がした。
早く、目の下にクマを作って待っているであろう彼に会いたい。

はやく。
はやく、彼に逢いたい。



「リーバーーー!!」



彼の背中を私の目が捉えた瞬間、私は走り出していた。
私の身体の全細胞が、彼に早く会いたがっている。
今の私は、そんな気分だった。


「おぉ!…お帰り。」


どんなに忙しくても、どんなに自分が疲れていても。
私をこの笑顔で出迎えてくれる彼。
私の大切な人。


「無事で良かった……、」


何度も何度も、繰り返したこの言葉のやり取り。
彼の笑顔と言葉は、私を元気にするおまじないの様なものだった。

ぎゅっとしがみつけば、彼の体温が伝わり彼のにおいがした。
それは私が一番落ち着ける温度とにおい…。


昨晩から降った雪のお陰で、外は真っ白。
任務も終わって、私はホームへと帰って来た。

きっと、目の下にクマを作って私を待ってる。
きっと、温かく迎えてくれるであろう彼を思うだけで、心が弾む。


「ただいま!」


冬の空気に冷やされた、身体が溶かされていく気がした。
どうせなら、このまま二人で降り積もった雪のように…
時間をかけて、ゆっくり溶けてしまいたい。


(降り積もった雪は)
(やがて溶けて)
(春を迎える)


end

20101219

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