短編ログ | ナノ
隙から落ちる

きらびやかな大ホール。
華やかな真紅のドレスに身を包み、あいつは華麗に踊っていた。

真上の天井には大きな豪華なシャンデリア。
このナターレパーティーに並べられている料理も全て一流シェフが調理したものだ。


「ザンザス様、もし良かったら一曲踊って下さらない?」

「………」

「お久し振りです、ザンザス様、よろしければ私と…」


先ほどから熱心にオレに話しかけてくる女共。
どいつもこいつも、着飾って化粧して香水臭いったらありゃしない。

それにオレに色目使ってきやがる。
お前らの魂胆なんか見え見えだぞ、カス女共が。


このパーティーの主催者であるジジイは他のマフィアとの交流に忙しく励んでいる。
周りにゴツいジジイの守護者を引き連れて、だ。

オレは周りの女共を全て無視して、グラスを傾けた。
程良く冷えたシャンパンが喉を通りパーティーは嫌いだが、これは上手いと感じた。

その時、ふと見たあいつはまだ踊っていた。
赤い真紅のドレスがあいつの白くて綺麗な肌をより際立たせていた。


(………)


オレは踊っているあいつに魅せられて、目が離せなかった。
その時、一瞬だが踊っているあいつと目が合った気がした。

その事にオレは何故だか、焦った。
自分の中で、何かがはじけて得体の知れないものが動き出すのを感じた。

持っていたグラスを無造作に置いて、オレはその場を離れた。
煩い女共がオレに声を掛けてきたが、今のオレには聞こえなかった。


「う゛お゛ぉい!どうしたんだぁ ザンザス」

「…うるせぇ」


手元に何も無かったので、近寄って来たカス鮫を拳で殴っておいた。
濁ったカスのうめき声が足下から聞こえてくる。


名前も知らないあいつ。
目が合っていたのは、ほんの一瞬だったがその視線はオレの中の何かを掴んでいった。


一瞬の隙、視線から落ちる。


end

20101212
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由ノ丞様へ相互記念
名前変換無くてすみません orz

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