「そんなに私って色気ない?」 色仕掛け成功したことない、と頬を膨らませるルーシィに対してそんな格好で聞くなバカ、とグレイは心の中で毒づいた。 あのね、好きなのいつものようにグレイが不法侵入すると、お風呂入るから、とルーシィは洗面所へと消えた。 男がいるのに堂々とお風呂に入るのはどうかと思うが、かなりの確率で自分は男として見られていないので仕方がないのかもしれない。 それに、この距離を壊さないためにそう思われなければならないのだ。 自分の情けなさに思わず溜め息を零す。 すると洗面所から出てきたのはバスタオル一枚をぐるりと巻いたルーシィ。 お風呂上りなので赤く上気した頬にどこかとろん、とした目。 その状態で色気ない?と小首を傾げて言われれば、いくら自分でもムズムズと悪戯心が湧き上がってくる。 「例えば、さ」 そう言って、ベッドに座っているルーシィに近づく。 自分は立っているので、必然的に見上げる形となる琥珀色のそれに思わずごくりと喉を鳴らす。 「こうやって、」 両腕で肩を軽く押すとあっけなくベッドの上に倒れるルーシィ。 肩を手で押したままゆっくり肘を曲げてルーシィに顔を近づける。 「なぁ、ルーシィ。このままキス、するか?」 ボッと音が聞こえてくるような勢いで赤くなるルーシィの頬。 何言ってるのよ…!と慌て始めるルーシィに本気だ、と囁く。 ますます頬を赤く染め上げるルーシィにさらに距離を縮める。 何かを覚悟したようにぎゅっと目を閉じたルーシィ。 あと少し、というところで我慢できなくなった笑いがクスクスと口から零れた。 きょとん、とした表情のルーシィにそれだよ、と言う。 「色気がない理由。見た目のわりに、キス1つでこんなに慌てちゃう姫さんに色気があるわけねーだろ。」 騙したのね!と騒ぐルーシィに実践で教えただけ、と言って顔をはなす。 慣れればそのうち色気も出るんじゃね?と適当なことを言って肩から手を放そうとして、待って、とその手をルーシィが掴んだ。 「あのっ…!」 「あ?」 「ええと、だから……慣れさせてくれない?」 「何を?」 「えっと…色気が出せるように…」 「…」 「キス…して?」 意味分かって言ってるのかよ、と聞けば当たり前でしょ!と返された。 ヤベェ、と口に手を当てて緩みきった頬を隠す。 まさか、想いが通じる日がくるなんて。 「ルーシィ」 「ん」 再び顔を近づけて、キスの距離。 「好きだ」 ずっとしたかったささやかなキスを、そっと――。 唇をはなしてルーシィの表情をうかがえば、あは、と照れたような笑顔を浮かべた。 「あのね、グレイ」 「ん?」 「私も、」 好きなの |