I will miss you badly.ふふん、と鼻から漏れる声をおさえようともせず、ルーシィは上機嫌に道を歩いていた。 今日の仕事はもともとの報酬の8割をもらえた。 それを五等分した自分の報酬額と先週の仕事で得たお金を合わせると、今月の家賃を払って少しお釣りが出る。 何を買おうかしら、と頭の中で考える。 あのシリーズの最新刊が出ていたような…新しい服も欲しいな。 今回の仕事はS級クラスの難しい仕事だったのでルーシィの体は重たいが、懐が潤っていることで心は軽やかだった。 いつものように船乗りのおじさん達に話しかけられて、家に着く。 今日はいないわよね、と心の中で呟いて扉を開けた。 「おかえり、ルーシィ」 「あい!」 「やっぱりいたー!」 何か近くにあるものを、とルーシィは肩に下げていた鞄をナツに投げつける。 ナツはそれを手で捕まえると、危ねぇとこぼした。 「どうして私より早くいるのよ」 先程駅でまた明日、と別れたばかりだ。 ん、とその質問にナツはハッピーを指差して答えた。 なるほど、と呟いてルーシィは冷蔵庫の前に立った。 「疲れてるんだから、あんまり騒がないでね。あ、夕飯食べてく?」 そう言って冷蔵庫の中を確認する。 仕事柄、いつ何があってもいいように食品の多くは冷凍してある。 先週買った魚やお肉はまだ残っているし、今月の家賃はもうあるので大丈夫だ。 よし、と扉を閉めて改めて2人を見る。 2人は目を白黒させてこちらを見ていた。 「何?夕飯食べないの?」 あれ?と首を傾げると、2人は顔をつき合わせてひそひそと話し始めた。 「いつも紅茶しか出してくれないルーシィがご飯作ってくれるって言ってるぞ…!」 「きっと毒か何かいれるつもりなんだよ…!」 「あら?そんなこと言う口はこの口かしら?」 ルーシィはハッピーに近づき、思いっきり口を引っ張った。 「いひゃいよ、るーひぃ」 「あんまりハッピーいじめんなよ」 あんたも共犯よ、とキッと睨めば素知らぬ顔で口笛を吹き始めた。 「で、食べるの?食べないの?」 ハッピーを解放して改めて2人に問う。 ないとは思うけど、もし食べないなら疲れてるからもう寝ようと思った。 「「食べる」」 やっぱり、と心の中で呟いた。 「じゃあ作るから、ちょっと待っててね」 なんか変なもの探そうぜ、と騒ぎ始めた二人を背にしてルーシィはこっそり溜め息を吐いた。 |