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あなたを待ってる



―ねぇ、キミは今誰を想っている?


ねぇ、今すぐ会いたいよ。

本音を隠したメールは



いつまでもキミに届かないままで・・・。






12月も後半に入りかけている。



今日はクリスマスの前々日で・・・。

クリスマスが休みな今年は23日もお休みと言う事で22日にクリスマスはどう過ごすかという話で盛り上がっている。



ほら、ココにも・・・。



「あーーー!もーー!!どうして誰か一人彼女連れてる人が俺達の中でいないの!?」

「はいはい。もうそれ聞き飽きたから・・・。というか、いてもなにするの?その二人で一緒にいるでしょ。つまり千鶴は関係ない事になるでしょ」

「ゆっきー甘い!そういう問題じゃないの。華が欲しいの華が!!」

「華なら春がいるじゃん。ねぇ?」

「えぇ!ぼ、僕ですか!?」



春ちゃんは男だろー!と、千鶴が騒ぐ。

今日もにぎやかだ。

が。それに比べて後ろでしんみりしてる人が若干一名・・・。


「要どうしたの?」

「え。あー・・・いや・・・ゆう・・・」



た、って俺の名前を呼ぼうとしたとき予鈴の音が鳴り響く。千鶴たちが、まったねー!といって教室を出て行った。


「何?」

「え。」

「今何か言おうとしたでしょ?」

「あー・・・いや・・・。その、24日だけど・・・わりぃけどちょっと厳しいくなっちまったか、も・・・」

「あー・・・」



実は皆には秘密にしているけど俺と要はお付き合いをしていた。もちろんクリスマスも一緒に過ごすかという話を(祐希たちには内緒に)していたのだが・・・。


「しずねぇに日紗子の事頼まれたんだよ。断ったけど断り切れなくて・・・。日紗子のヤツも一人で過ごすクリスマスって始めてだっつってたから・・・」

「ふふ、要は優しいね・・・」

「あ?」

「俺の事は気にしなくていいから日紗子ちゃんの所、いってあげなって」

「けどよ・・・っ」

「だい、じょうぶです」

「・・・わりぃな・・・・・・」



そういって微笑んでいると授業開始のチャイムが鳴る。

そうだよね、お姉さんが結婚して初めてのクリスマスだもんね・・・。それに秘密で付き合うということはつまりはこういうことになる。だから仕方ない事。ただ、それだけのこと・・・。

だけど、胸がキュッっと苦しくなったのは何故だろう―?






「う・・・ッ。寒い、・・・もう9時になるの、か・・・」

温かい格好はしたつもりでいた。けれど寒空の中、7時から動かずずっとこの場所にいたせいか身体は完全に冷えてしまっていた。けれど、


「・・・綺麗だなぁ。要と、みたかったな・・・・・・。」


今いる場所、そこはクリスマスの今日、待ち合わせをするはずの場所だったところ。ここはココらへんでは一番綺麗なイルミネーションが見れると言われ恋人同士が一緒に通れば幸せになれると言われているところだった。

約束はしていない。だって俺が断ったんだから。けれど待ち合わせの時間になぜかココに来たくなってそれから2時間ずっとここにいてイルミネーションを見ていた。色とりどりの光が綺麗で涙腺を緩ませる様なものだった。

何度もケータイを開いてはメールを開き会いたいって打ち込んでは消去して、の繰り返し。分かっているこんなことしていたって無駄だって。だって、今日は・・・。


「・・・帰ろう、かな・・・。」


段差で座ってたがよいしょ、っと立ち上がりソコから数歩、歩き出す。すると・・・



「悠太!!?」

「え・・・?」



振り返らなくたって分かる。そこにはいるはずのない要が居た。けれど恐くなって俺はぴくっと反応しつつもその場から走り出す。


「あぁ!?ちょ、まてよ、おい!!」

「―っ!!」



鬼ごっこの始まり。けど、完全に体が悴んでうまく走ることができない。


「あ・・・」

「ばっ!!」



ちゃんと足が上がらなかったせいで段差もないのにつまずいて転ぶ。が、痛みがない。どうやら後ろから追いかけてきた要に腕を掴まれ阻止されていたらしい。


「なんで逃げんだよ!」

「だって・・・っ」

「・・・ずっと、居たのか?あそこに・・・」

「それは・・・。」



はいそうです。なんて言える訳がなくて俯いていると寒かった体がふわっと包まれ温かみを感じる。


「ごめん・・・」

「・・・・・・。」

「すげぇ、身体冷えてる・・・」

「外は、寒いから、ね・・・。もうそっちは終わったの?」

「いや、まだ母さんたちは日紗子の家の方に居る。けど・・・」

「けど・・・?」

「わかんねぇけどここに来ないと行けない気がして、誰かに呼ばれている感じがして胸騒ぎを起こしながら早く早くと向かって来たら人ごみの中にお前が居た。すぐに悠太だってわかった・・・」

「―っ!」

「うおっ」



後ろから要が抱きしめてくれた。けれどどうしてここに居るのか聞いて知ってしまった俺は振り返ってこぶしを振り上げて要の胸にドンッと叩きつけて飛び込む。


「バかなめ!!何で来るんだの!なんで抜けて来てるの!?俺が断った意味ないじゃん!!」

「んだよっ!わるいかよ!!俺はお前と会いたかったんだっつの!」

「知らない知らない!!そんなことっ。俺は別に―っ」

「・・・こういう日ぐらい素直になってもいいんじゃねぇの・・・・・?」

「―ぅ・・・っ。かな、め・・・っ。かなめ!!・・・たよ、会いたかったよぉっ」

「あぁ、待たせて悪かったな・・・。俺もお前に会いたかった。愛してる悠太・・・」



ずっとずっと秘めて居た思いを要にぶつける。

ずっとずっと溜めていた雫がポロリと流れる。


それと同時にチロチロと空から雪が降ってきた。


「あ・・・」

「今年はホワイトクリスマスか」

「ふふ、そうだね。去年の今頃はDVDみてたんだっけね」

「あー、だな。んでその前は商店街でこきつかわれてさ」

「懐かしい・・・」

「なぁ、悠太」

「ん?」

「今からじゃ、ダメか・・・?」

「しょうがないなー。その代わり温かいもの、おごってね」

「うっわ。ったく、それこそしょうがねぇな」


一緒に二人でくすくす笑いあう。

あぁ、サンタさん。素敵なクリスマスプレゼントをありがとう―。





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執筆者:ストロボナイト*の水黒ゆた様
お題提供元: 反転コンタクト